足立朝日

畳の香りでゆったり 区内銭湯で初の「いぐさ湯」

掲載:2021年7月5日号
 足立区内の銭湯全28軒で、6月27日(日)、一斉に初の「八代いぐさ湯」が実施された。
 畳の素材である「いぐさ」をネットで包んで湯船に浮かべた浴室は、ほのかに甘さを含んだ心地よい香りに包まれた。
 足立区浴場組合が数年前から取り組んでいる「香り湯プロジェクト」の一環。農産物を活用することによって銭湯と地方農業の活性化を目指すもので、地域活性化事業や農業サポート活動をしている「KAZENO HITO」(老沼裕也代表/弘道1‐14‐10)が企画を担当している。
 今回使用したのは、熊本県八代市産のいぐさを使った畳の制作過程で出る端材。足立ブラ
ンド認定企業の小川畳店(東和3‐6‐7)、八代市のいぐさ農家、熊本県いぐさ
・畳表活性化連絡協議会の協力によって実現した。
 新型コロナウイルスの影響により事前に告知は行わず、普段からの銭湯利用者にいぐさの香りを楽しんでもらおうというもの。
 畳の需要減や安い輸入品により、国産いぐさの生産は減少傾向にある。今回の端材の活用はSDGsの観点から循環型環境に即しているだけでなく、いぐさ農家の支援にもつながる。
 老沼さんによると地域全体でのいぐさ湯開催は、全国的にも初めてではないかという。「八代いぐさ湯を通じて、いぐさの新しい魅力を銭湯で感じていただけたらうれしい」
 いぐさは古くから抗菌効果や森林浴効果があると言われていて、バニラエッセンスにも使用される成分、バニリンが含まれていることから甘い香りを出す。
 利用客の反応も上々で、高齢者からは「いぐさ風呂なんて初めて聞いた。いい香りがする」、「新鮮ないぐさの香りは良いよね。お風呂で楽しめてうれしい」、若者からは「風呂上がりに、身体が甘い香りがして驚いた」などの声が聞かれた。
 足立区浴場組合の山田知孝支部長は「循環型・持続的な取り組みをしていき、今後も畳といぐさ農業のみなさんと関係を築いていければ」と話している。

写真上/いぐさを手に左から老沼さん、山田支部長、小川代表=若松湯で