足立朝日

羅針盤 VOL.128

掲載:2022年5月5日号
 あれから2カ月、もう薫風漂う5月だというのに、一体どういうことだ。多くの心ある人が毎日いらだち、怒っている。
 ある新聞に「近頃テレビをみていて不思議な思いにとらわれる。ロシアのウクライナ侵攻の悲惨な状況が映し出され、正視できない。チャンネルを変えると、おちゃらけ芸人たちのバカ騒ぎが映し出される……。私の心にはしこりがある……」。
 こんな投書や声が増えている。平和な日常を送っていた人々が次々と殺される。病院や学校や駅が爆撃される。「封鎖せよ。ハエ一匹通すな!」。侵攻を続ける指導者の言葉の何と冷酷無比な響きだろう。
 人間の心は、悲しい情報を浴び続けると、不安定になる。英語で「ドゥーム(悲運)サーフィン」と呼ぶらしい。コロナ禍の上にウクライナ侵攻……。
 しかし、私たちはあきらめたり、絶望したりするわけにはいかない。「花を引き抜くことはできても、春の到来は止められない」(ある評論家の言葉)。
 歴史は必ず『必然』に向かって流れる――。  (編集長)