足立朝日

藍綬褒章(消防功績)受章 田口 治雄さん(72)

掲載:2022年6月5日号
使命感とやりがいをもって日々奔走

 令和4年春の褒章の受章者が4月19日(火)の閣議で決定され、4月29日(金・祝)付けで発令された。足立区からは4人が受章。その一人、西新井消防団団長の田口治雄さんは、長年の活動が消防功績として国から認められ、「藍綬褒章」を受章。5月13日(金)、東京消防庁スクワール麹町(千代田区麹町)で伝達式が行われた。
 消防団とは「自分たちの町は自分たちの手で守ろう」という郷土愛護の精神で、火災、地震などあらゆる災害に、消防隊と連携して活動する地域の防災リーダーで、田口さんが同活動に身を投じたのは平成元(1989)年、40歳の時であった。現在、田口さんは西新井消防署管内の消防団9個分団の長を務める。
 消防団の活動は次のように多岐にわたる。【1月】東京消防庁出初式と共に西新井消防団始式【5月】足立区合同総合水防訓練【6月】西新井消防団消防操法大会で訓練成果を区民に披露【9月】消防団合同点検【10月】東京都消防操法大会【11月】足立区総合防災訓練【12月】年末消防特別警戒
 これらの年中行事の他、依頼による活動も多い。田口さんは以前、上級救命講習指導員の資格を取得したため、学校や地域、避難所運営などの現場に出向き、AED操作方法や心肺蘇生法などを指導。「終了時に、参加者から感謝の言葉を聞くと、自分の知識や経験が役立ったと感じてとてもうれしい」と語る。
 火災発生時には、西新井消防署から消防団本部と9個分団の分団長にメールが届く。延焼中の場合はさらに電話連絡があり、消防団も現場に急行。強風が吹いた3月14日(月)には、西新井本町1丁目で7棟が燃える大火事があり、3分団と応援分団が出動。田口さんも現場に駆け付けた。夜間のためバルーン照明を設置し、消防隊員と共に消火活動に勤しんだ。
 万が一の時に備え、消防団は定期的な訓練を欠かさない。目下、6月5日(日)に北足立市場で行われる「西新井消防団消防操法大会」に向けて、一同意識を高めている最中だ。当日は、1本20mのホースを4本連結するタイムと、消防団としての規律を競う凛々しい姿を見学できる。
 田口さんは、西新井仲町会会長、西新井青色申告会副会長、民生委員も兼任。このバイタリティの源は、「使命感とやりがい」であるという。「やるべきことはきちんと誠実に全うする」をモットーに日々奔走する姿に、周囲の人々は深い信頼と尊敬の念を寄せる。

写真/制服姿の田口さん=スクワール麹町で