足立朝日

国立劇場の文楽がシアター1010へ 足立区と日本芸術文化振興会が連携協定

掲載:2022年7月5日号
 「足立区と独立行政法人日本芸術文化振興会との連携協力協定締結式」が6月25日(土)、国立劇場大劇場ロビーで行われた。
 今年、開場56周年を迎える国立劇場は、建て替え再整備のために来年10月の公演をもって閉館し、令和11年に再開する。その間の公演施設として、シアター1010が選ばれ、今年1月、先方から足立区に打診があった。選定基準は「文楽の上演にふさわしい座席数(701席)」「北千住駅直結の利便性」「多種多様な作品上演の事業経験実績」など。同劇場では「文楽」が令和5年12月、令和6年5月、令和7年5月に上演される予定。
 締結式冒頭では、近藤やよい区長が次のように感謝と抱負を述べた。「シアター1010に目を向けていただいたことを大変名誉に思い、感謝申し上げたい。足立区では、子どもたちに日本の文化芸術に触れる様々な事業を展開しているが、文楽とのご縁により、さらに事業が進行することを心強く思う。足立区をあげて文楽をPRし、これを機会に日本の文化芸術をさらに地域に浸透させていきたい」
 それに応えて、同振興会の河村潤子理事長が挨拶。「伝統芸能継承に大切な舞台公演製作を継続するためには、充実した劇場施設との連携が欠かせない。シアター1010での令和5年12月の文楽公演は、国立劇場を畳んでから初めての長期公演。文楽の鑑賞・体験機会の充実を図り、皆さんが伝統芸能の面白さに触れ、親しんでいただけるよう工夫を重ねたい」
 同協定締結後、人間国宝の桐竹勘十郎さん(一般社団法人人形浄瑠璃文楽座代表理事・文楽技芸員)が、閉館中も文楽を継続できる安堵と喜びを語った。文楽の歴史・人形解説後には、若手会の桐竹勘次郎さんと桐竹勘昇さんも登壇し、三人遣いによる人形所作を実演。
 足立区民が、シアター1010で文楽を鑑賞できる日は近い。

写真/左から河村理事長、桐竹文楽技能員、近藤区長(国立劇場にて)