足立朝日

スマイリーキクチさん 母校・第六中で 「SNSに危険性」を 講演

掲載:2022年8月5日号
 第六中学校(本木西町/鵜飼康成校長)で夏休み直前の7月19日(火)、全校生徒306人を対象に「セーフティー教室(生活安全)」が体育館で開かれた。
 講師はタレントで一般社団法人インターネット・ヒューマンライツ協会代表のスマイリーキクチ氏(太田プロ)。35年ぶりに母校を訪れ、「SNSの危険性」について講演した。
 キクチ氏はインターネット掲示板で、足立区で起きた殺人事件の犯人と決めつけられ、10年間、中傷や脅迫に苦しんだ。中でも悪質だった19人が摘発されほぼ収束したが、今でも書き込みは続いている。誰でも簡単に被害者や加害者になってしまうネットの怖さを伝えたいと「突然、僕は殺人犯にされた」 (竹書房文庫) を執筆、講演活動も行っている。
 この日の講演では、近年起きた旭川のいじめやプロレスラーの木村花さんの事件を挙げた上で、自らの体験を語った。ネットでは自分の信じたい情報、好きな情報だけを信じがちと指摘。逮捕された19人もデマを鵜呑みにし、歪んだ正義感からキクチ氏を攻撃した。「一番危険なのは正義感。情報を疑ってみる正疑感にしないと」。また、匿名でも身元が分かること、安易なリツイートの危険性、一度の発信で世界中にコピーが残ることなどを挙げ、「親や先生に見せられない言葉、画像は載せないで」と呼びかけた。
 苦しい時期に友人や先輩芸人が支えてくれたことを明かし「誰でも加害者、被害者になること、言葉の力を感じた」「おれが幸せになることが一番の仕返し」と笑顔。講演後、生徒代表から花束と「助けることが出来ることを学んだ」などお礼の言葉が贈られた。
 「一人でも響いてくれたら」。キクチ氏の切実な願いだ。

写真/自らの体験談を語るキクチ氏=第六中で