足立朝日

足立区生物園 ビルマニシキヘビが「おまもり」に 環境保全活動も

掲載:2022年9月5日号
 足立区生物園(保木間2-17-1)では、様々なオリジナルグッズを販売している。区内の店とコラボしたいきものの形をしたパンやクッキー、 さらに園のセイヨウミツバチが集めた天然無添加のハチミツを8月3日(ハチミツの日)から数量限定で発売し、早くも完売した。この夏、新たに珍しい一品が加わった。

●金運のおまもり
 小さな台紙に貼られて販売されている、3・5㎝四方のウロコ模様。この「おまもり」の正体は、「ビルマニシキヘビ本革」。
 実はこのヘビ皮の持ち主は、2009年から飼育されていたビルマニシキヘビの「フトモモ」(愛称)だ。長さ4mを超える巨体は国内飼育の中でも最大級で、昨年5月に神奈川県でヘビが脱走した騒動では、テレビ出演もしていた。
 ところがその後まもなく、心臓病で死亡。長年、大切に育ててきたスタッフのショックは大きく、来場者の中にもフトモモ目当てで通ってくる人もいたそうだ。
 昨年12月に、冷凍保存の状態から骨格標本を残すための処置をした際、皮は破棄するはずだったが、「残して利用したい」とグッズにする案が浮上。そのためには、なめし加工をする必要がある。
 ミュージアムショップ担当の綱島さんによると「皮はそのままだと硬くてガサガサで、触ると表面がはがれてしまうんですよ」。最初はインターネットで見つけたやり方で試行錯誤したが、どうやってもうまくいかず、区内の東洋皮革㈱(梅田4-3-18)に辿り着いた。
 足立ブランド企業の同社は、国内で唯一、爬虫類の原皮の直接輸入、なめし、染色、仕上げの工程を一貫して行っている、爬虫類皮革のプロ中のプロだ。
 同社スタッフの出張指導を受けて、生物園スタッフが、改めてなめしに挑戦。皮を薬品に浸け込んでかくはんするのだが、工場では機械でやる作業を、毎日1時間に1回、1カ月間かけて手で行った。おりしも1月から3月は感染防止対策により休園中で、裏方に専念できた時期だからこそできたことだという。
 仕上げは東洋皮革が担当。出来上がった本革を、生物園スタッフが一つ一つ切り取って製品にした。
 「革が大きいので鞄や財布にもできますが、買う人が限られるし高価。いろいろな人に手に取って欲しいね、と財布に入るお守りにしました」と綱島さん。
 小さい面積ながらも、鱗の凹凸や滑らかな手触りを、なでて確かめることができるのが醍醐味だ。
 ヘビは縁起が良く、抜け殻を財布に入れたり、ヘビ革の財布を持つと金運が上がるという言い伝えがある。最初に作った50個の売れ行きは上々で、引き続き増産しながら販売していくという。
 「ヘビや革製品に興味を持ってもらうことで、命の尊さを知ってもらいたい」。生物園スタッフの思いが込められている。
【メモ】「ビルマニシキヘビ本革おまもり」(税込400円)は生物園2階のミュージアムショップで販売中。オンラインショップは450円(税込)。
【問合せ】TEL3884・5577生物園
◆ツシマウラボシシジミの公開展示
 生物園では生息域外保全の活動として、交配、孵化、飼育管理をしている希少なチョウ、「ツシマウラボシシジミ」を、9月18日(日)~22日(木)に一般公開する。
 日本では長崎県対馬北部にのみ分布する開帳約2㎝のシジミチョウで、近年生息数が急激に減少。「国内希少野生動植物種」に指定されている。
 8月末から東武スカイツリーラインに掲出される生物園の中吊り広告は、コロナ禍のため集客PRではなく、絶滅危惧種の保全を語ったもので、同園初の試みとなっている。

写真上/ビルマニシキヘビ本革のおまもり。大きなウロコで効果も絶大?
下/生物園の中吊り広告。ツシマウラボシシジミで環境保全活動をPR