足立朝日

歴史ある舎人地域の鎮守

掲載:2007年12月5日号


 待望の日暮里・舎人ライナーの開通を来年3月に控え、大きく変わろうとしている舎人地区。歴史ある地域を見守り続けている「舎人氷川神社の本殿」が先月、七五三に合わせて公開された。
【見事な彫刻】

 須佐之男命を祭る同神社は、鎌倉時代初期(1200)に大宮の氷川神社から勧請されたもので、江戸享保年間には神階正一位を受けている。総欅造りの本殿は、天保7年(1836)の建立で、足立区登録有形文化財に指定。本殿は拝殿の奥にあるため、普段は外から裏側に回り、金網越しにしか見られない。
  屋根は唐様、破風流し造りで、社殿の柱と壁面は息を飲むほど見事な彫刻で埋め尽くされている。柱と横木に9体の登龍、降龍が絡みつき、圧倒される迫力で宮を守護している。扉の正面には「ぼたんに唐獅子」、壁面には総欅造りの本殿
日本神話の「須佐之男の八岐の大蛇退治」「天の岩戸開き」「天孫降臨」の様子が配されている。
 今年2月末、左側の「八岐の大蛇退治」が落ちているのが見つかった。彫刻が浮き上がって見えるよう、2枚の板を重ねて張り合わせてあったものが、年月の経過で剥がれたらしい。区の依頼を受けた専門家の手で、8月に無事修復が完了した。




本殿正面柱の龍の彫刻

【足立区初の発見】
 その際の調査で、足立区初の発見があった。約40年ぶりに開けた本殿から出てきたのは、5枚の「懸仏(かけぼとけ)」。懸仏は、直径約30㎝の木製の円板に薄い青銅板をはりつけて仏像を飾ったもの。19世紀始めに徳川幕府が編纂した「新編武蔵風土記」に、まさにこの懸仏の挿絵が出ている。
  ただ、残念ながら仏像は消失し、あったのは木の円板のみ。郷土博物館で、2008年3月11日~5月11日まで展示予定。本殿は2月28日(木)の祈念祭でも公開される。


神主の代理で七五三を祝う頼もしい総代たち