足立朝日

本棚を分け合う シェア本屋が千住にお目見え! 

掲載:2022年11月5日号
 シェアハウスにシェアルーム、そしてシェアカーにシェアキッチン――。今さらなのかもしれないが、「シェア」が大はやりだ。そんな中で、旧日光街道の空き家をそのまま利用して、大きな本棚を置き、その本棚を仕切って有料で希望者に貸し出すシェア本屋(共同書店)がオープンした。またまた千住の名所となりそうだ。

 このシェア本屋の名前は「共同書店編境」。「編境」は、「境界を編む」という意味をこめて名付けた。場所は、千住仲町25番地、ちょうど「掃部宿憩いのプチテラス」の真前。
 「編境」は、本棚を約40の棚に仕切り、30㎝×30㎝が月3000円、30㎝×60㎝は同4000円で分けあい、そこに各オーナーが自分が売りたい本を置き販売するシステム。本は、基本は自分が読んだ本だ。価格は、オーナー自身が決めるが、300円~2000円が相場。 
 この「編境」を主導しているのが、千住橋戸町在住の山本遼さん(32)。
 山本さんは、広島県生まれ。7年前に上京して会社に就職したが、「友人がいなくて、寂しい毎日だった。何かないかなあ、と探して出会ったのがシェアハウスだった」。独立して不動産会社を設立、空家(空建物)を見つけてシェアハウスにしてきた。まず世田谷で3軒、続いて品川、武蔵野市、文京区、そして4年前から在住となった足立区で5軒と増やし、現在15軒に。7人の友人と曜日ごとに店長が変わる「シェアスナック」も3年間やったそうだ。
 今回、コロナで人と話す機会が減ったので、少しでも会話をするきっかけにしたいと「シェア本屋」を考えた、という。山本さん自身も本が大好きで、ビジネス書から小説まで何でも読む。
 今年7月にツイッターなどで「本を置きませんか?」と呼びかけたところ、続々と応募があって、現在棚主は30人。20代~70代と幅広く、それぞれの棚に書店名がついている。
 とりあえず10人で運営委員会を設置。お店は、7月後半に試験的に開け、11月からは連日の開店になり、交代で店番を行っている。
 棚に「ピネサロン」という名前を付けている棚主の一人、石出由美さんは、渋谷区で身障者アートの事業を立ち上げている。マーケティングとアートに関連する本を置いていて「ここは、藝大千住キャンパスにも近いので、棚主になった。皆さんに関心を持ってもらいたいです」と話した。
【メモ】営業時間は、午前11時~午後8時。不定休

写真上/「編境」の看板を持つ山本さん
下/旧日光街道沿いにオープンした「編境」