足立朝日

殺陣でも見せる朗読劇 「千住に吹く風~鴎外青春診療録控~」 「Road ONE」が無料公演

掲載:2022年11月5日号
 足立学園出身の俳優、高松潤さん(46/劇団青年座)率いるパフォーマンス集団「Road ONE(ロードワン)」が「えんチャレ」公演として仕掛けるのは、アクションを融合させた新しい朗読劇だ。題材は森鴎外(林太郎)の若かりし日々を描いた短編小説「鴎外青春診療録控 千住に吹く風」(山崎光夫著/中央公論新社)。林太郎は東大学卒業後、明治14(1881)年からドイツ留学を挟んで7年間、千住に暮らした。将来に悩み、軍医になるまでの話が綴られている。
 出演者8人のうち、高松さんと杉浦悦子さん(74/7月5日号「ピープル」)は千住出身在住、名取幸政さん(81)は西新井在住で、2人は高松さんが所属する劇団青年座の大先輩でもある。
 高松さんは今回の公演を「足立区出身の俳優が出演し、足立区に関係のある題材を、区内で無料公開する。演劇の地産地消をしたいと思っている」と意気込む。今年は鴎外生誕160年であり、足立区制90周年でもある。「千住に吹く風」は小説では副題だが、「この小説の主役は千住」と、あえて入れ替えた。
 上演するのは、金蔵寺の住職が登場する「千住に吹く風」、坂本龍馬の許婚で千葉周作の姪であり北辰一刀流の使い手・千葉さなとの交流を描いた「道場の花」、人生の岐路に立つ林太郎の「決意の坂」の3本。
 「道場の花」は千住で鍼灸院を開いていた千葉さなが、小説のように鴎外と出会っていたかもしれないと思わせてくれる内容で、歴史上の有名人2人の共演が味わい深い。
 「若い林太郎が迷い悩んで見出す物語であると同時に、激動の時代の家族の話でもある」と高松さん。小説の全文をそのまま読むのではなく、上演は会話のリズムを大切に文章を整理して朗読しながら、2階の通路も使って殺陣を披露。ピアノの生演奏も入り臨場感を盛り上げる。「外に出て生の舞台を観て時間を共有する。それを楽しんでほしい」と力を込める。
【日時】12月1日(木)午後6時半開演(開場は45分前)※昼公演は満席
【場所】東京芸術センター21階 天空劇場(北千住駅西口徒歩7分)
【出演】高松潤、名取幸政、杉浦悦子、髙橋幸子、森内美凪、三浦拓真、山村賢、福冨翔、小池亜季(ピアノ演奏)
【料金/対象/定員】無料/足立区在住・在勤・在学者対象/定員400人(要事前予約・全席自由席)※4名まで。代表者は当日受付で証明書を提示
【申込方法】TEL5478・8571劇団青年座(午前11時~午後6時・土日祝除く)、Eメール

写真/稽古に集まった出演者。
「1010ポーズ」を取る(前列左から)杉浦さん、高松さん、名取さん