足立朝日

空き家利活用で人が集う 千住に「せんつく2」完成 テーマは「学」

掲載:2022年12月5日号
 空き家を活用したシェアスペース「せんつく」(千住寿町14‐7)の第2弾「せんつく2」が12月、千住宮元町26-13にオープンする。

 「せんつく2」があるのは、千寿青葉中学校近くの五叉路の角で、北千住駅西口から徒歩12分ほど。長年空き家だった築60年の建物だ。
 再生プロジェクトを進めてきたのは、せんつく(1)に引き続き、一級建築士の青木公隆さん。2年前に物件を見つけて家主に交渉、土地の権利問題など数々の困難な問題を乗り越え、ようやく完成にこぎつけた。建物のリノベーション(改修)は、青木さんが代表取締役を務める「Arco architects(アーコ・アーキテクト)」(千住東2-5-14)が担った。
 以前は塀で囲まれていた建物が、三方をガラスにしたことで、開放感ある施設に生まれ変わった。「ガラスなので耐震や耐火など難しかった。梁はそのまま残し、古い木材が違和感がない内装にした」と青木さんの笑顔に苦労がにじむ。
 「せんつく(1)」は古民家複合施設の第一弾で、2020年2月に足立区との協同による空き家利活用プラットフォーム「千住 Public Network 」として再生。「つくる」をコンセプトに、飲食店やパン教室、整体カフェなど個性的な店が出店し、「せんつく市」を開催するなど人と人が交流する場を生み出してきた。
 せんつく2は「千住まちづくりファンド」活用の第一号。同ファンドは国土交通省とMINTO機構(一般財団法人民間都市開発推進機構)が、地域金融機関と連携し、地域の民間まちづくり事業に出資等をする支援事業。3月に足立成和信用金庫(土屋武司理事長)とMINTO機構との間で「千住まちづくりファンド有限責任事業組合」を設立。地域コミュニティの場を再生するための、空き家や商業・宿泊・イベント施設等のリノベーションを支援する。
◆2のテーマは「学び」
 1階には炭火焼の飲食店、2階に学習塾と共用スペースを設ける。
 学習塾「ウチマナベ」を運営するのはせんつく(1)の銀鮭専門割烹「ウチワラベ」店主の内田洋介さん。内田さんはウチワラベで駆け込み無料食堂を実施し、子どもに限らず食事を提供している。海外でのホームレス経験や数々の経験から、子どもにちゃんと食べさせ、学んで欲しいとの思いがある。
 ウチマナベは「総合表現学習道場」として、大人向けの絵画・彫刻教室、英語教室を開く。英語は海外進出を考えている人向けで、内田さんがワーキングホリデーや留学方法も伝授。「学生たちにはビジネスを学んでほしい」という。
 また、隣の共用スペースは地域の子が自由に使えるようにし、駆け込み無料学校も開設。「千住には無料フリースクールがない。第1号にしたい。学校に行きたくない子などの居場所になれば」と内田さん。
 1階には内田さんの思いを受け継ぎたいと、飲食業の経験豊富な松尾宏さんが炭火焼「Orto」を出店。周辺には飲食店がなく、住民の関心も高い。「近くのお客さんに利用して欲しい。いずれランチもやりたい」と松尾さん。ウチワラベと同様、駆け込み無料食堂も行う。階段下には野菜販売スペースがあり、いずれ区内野菜や産直野菜などを販売する予定という。
 12月10日(土)に千寿青葉中学校を借りて完成式典を行う。
◆炭火焼「Orto」=12月12日(月)オープン。12月の営業時間は午後5時~11時
◆学習塾「ウチマナベ」=12月13日(火)から無料体験。英語は午後6時~8時半(Ortoの食事付き)、絵画は午後6時~9時
※詳細は決まり次第https://www.instagram.com/senju_sentsuku/

写真上/古い柱を生かした1階店舗で。左から内田さん、青木さん、松尾さん
下/完成間近のせんつく2「学」(写真提供=青木公隆さん)