足立朝日

「学生生活を支援したい」  足立高校100周年 同窓会が奨学金を設立

掲載:2023年1月5日号
 都立足立高等学校(中央本町1-3-9)が、今年創立100周年を迎える。その記念事業として同校同窓会(金成秀幸会長)は給付型奨学金制度を創設、4月から運用を開始する。同窓会によるこの試みは区内では初。
 同校は区内の高校で最も古く、卒業生にはビートたけし、木村彌一(コスモ石油会長)、浅井えり子(ソウル五輪女子マラソン日本代表)、マシンガンズ・滝沢秀一(芸人・ごみ収集作業員)らがいる。
 奨学金制度は1年半前から準備を始め、昨年10月29日(土)の総会において全会一致で承認された。「ヤングケアラーの部活や勉強の応援をしたい。お金のせいで何かできないということがないように」との同窓会員たちの思いが込められている。
 同窓会幹事長の塩野谷光夫さん(22期)は、「今は携帯料金の負担が多いのではないかと思う。プライベートなものだから家族の人数分必要。通信費をバイトして出そうと思ったら、遊びや勉強の時間を削るしかなくなる」と、子どもたちを思いやる。
 同校と同窓会は、常に生徒との交流の場を設けてきた。毎年6月に授業の一環として実施している同窓会講演では、卒業生3人が2、3年生の各クラスを回って講演。同じ高校から様々な道に進んだ先輩たちの体験談やアドバイスは、生徒たちにとって貴重な学びだ。
 ところが、コロナ禍により状況が一変。同窓会が参加する文化祭「弥生野祭」共々、2年連続中止となり、生徒との接点がなくなったことで同窓会の入会率が激減した。「イベントに参加できなくても、生徒になにかできるのではないか」と、以前から思い描いていた奨学金制度に動き出した。
◆10年は続けたい
 給付の応募資格は経済的な条件の他に、勉学・生徒会活動・クラブ活動等において意欲旺盛で優れていること、学校長の推薦があることとした。学校生活は勉強だけではない。生徒会や部活動も含めたのは、その生徒を多角的に、可能性を伸ばしたいという心意気だ。
 給付は月額1万円で、4月から翌年3月までの12カ月。各学年から1人、計3人が対象で、年間36万円となる。「資金が潤沢であればもっと出したいが、継続できなければ意味がない。最低10年やりたい」と、金額を決めた。
 財源は会の運営のために約20年間貯めていた会費、寄付金、入会金、会誌の広告費でまかなう。また、100周年記念事業で学校に寄贈する新しい校旗の寄付金を募る際、旗の製作費の余剰金は奨学金に宛てると告知したところ、目標の100万円の3倍が集まった。
 「100年続いてきた高校なので、同窓会に入会して次の世代に繋いでくれるきっかけを作りたい。高校時代の過ごし方は人生にいろいろな影響を与える。チームとなって生徒を育て、その生徒が育てる側になる、良い循環が続けば」と塩野谷さんは話す。
 周年式典は11月。新しくなった校旗と、生徒たちの満開の笑顔が見られるに違いない。

写真上/区内で最も歴史の長い足立高校
下/同窓会幹事長の塩野谷さん