足立朝日

3月閉校の鹿浜西小 校舎に思い出を描く 在校児童と卒業生・地域住民

掲載:2023年3月5日号
 鹿浜西小学校(山下宗孝校長/鹿浜2‐24‐1)の校舎の廊下が、在校生や卒業生らによってカラフルな絵で彩られた。今月で54年の歴史に幕を下ろす同校の校舎が、楽しかった思い出とともに、子どもたちの新たな門出を見送る。

 鹿浜西小(1969年創立)は北鹿浜小(1973年創立)と統合され、今年4月、鹿浜未来小学校として旧鹿浜中跡地(鹿浜5-18)に開校する。
 思い出づくりとして、1月30日(月)に在校児童が、2月18日(土)には卒業生や地域の人たちが、校舎の廊下、階段、窓、昇降口にアクリル絵の具やマーカーで思い思いに絵やメッセージを描いた。
 この企画に活用したのは、㈱ぺんてるとキャノンマーケティングジャパン㈱が2014年から協働で実施している「校舎の思い出プロジェクト」。建て替えや統廃合によって取り壊される小学校を対象に、校舎での最後の思い出づくりをサポートしている。
 内容は、子どもたちが校舎に描いた絵を大判ポスターにして新校舎に掲示、また「思い出写真係」の子どもたちが一眼レフカメラでペインティングを撮影し、フォトブックにして図書室に残すというもの。
 ぺんてる㈱が画材と額を提供、キヤノンマーケティングジャパン㈱がカメラの貸し出しと大判ポスター、フォトブックを制作し寄贈する。
 「子どもたちに記念に残ることをさせてあげたい」とPTAと教員が話し合う中で、藤巻久美子教諭が以前の赴任校の改修工事の際の経験を挙げたことから企画が進み、閉校記念実行委員会(野辺陽子会長)の「子ども行事部」が主体となって実現させた。
●卒業生たちも集結
 児童に先駆け、12月後半にPTAと教員が、2階に校舎とスローガンを描いた壁画を制作。6年生が校庭と昇降口を担当した。
 12月にクラスごとにテーマを決めて紙に下絵を制作。また、写真係は5~6年生の約10人が担当し、事前にキャノンマーケティングジャパンの資料で使い方を学んでから、描かれた絵を写真に収めた。
 2月18日には、回覧板で情報を知った卒業生や地域住民約120人が参加した。
 伊東雪乃さん(29)は同校に通う4年生の結愛さんと、4歳、3歳の娘3人を連れて参加。「私も父親も鹿西小。鹿中もなくなって淋しい」。待ち合わせはせずに1人で訪れ、学校で偶然同級生と合流した卒業生も多かった。柿沼幸子さん(鹿浜菜の花中2年)もその一人で、「最後に思い出が残せてよかった」と友人と壁に色を乗せた。23歳の6人グループは「久しぶりにみんなと会った。同窓会みたい」と懐かしい母校での再会を楽しんでいた。
 校内の各所に描かれていたのが、鹿のキャラクター「鹿野さん」。50周年記念に校内コンテストでデザインが決まったもので、以来、同校の子どもたちに愛されてきた。角の数字が50から、毎年1つずつ増えていくのがポイントだ。
 この日は、鹿野さんの生みの親の高橋翔さんも参上。デザインした当時6年生だったが、今は高校1年生。ペインティングイベントを知り「来なきゃ」と思ったそうで、「みんなが馴染める愛着のあるキャラにしたかった。想像以上で驚いている」。
 校長室のドアに描き下ろされたのは、角が55になった鹿野さんのイラストで、桜の木の絵を担当した1つ先輩の屋代星渚さんとの合作。満開の桜と満開の鹿野さんの笑顔は、思いのこもった数々のペイントとともに、旅立つ子どもたちに、明るい勇気を与えてくれるに違いない。

写真上から
①卒業生や地域の人たちもペインティング
②「鹿野さん」生みの親・高橋さん(右)は校長室のドアに。
角の数字は鹿西小の歳「55」
③バンクシー参上?
④在校児童たちの作品
⑤在校児童たちのメッセージ