足立朝日

夢はぐくむ工作

掲載:2008年1月5日号


 子どもたちの学力不足、不登校、いじめ、ニート問題など様々な問題が叫ばれているが、ワクワクする楽しい気持ちや、何かを創りだしたり、継続する頑張る気持ちから、夢や希望が生まれるのではないだろうか。そんな子どもたちがワクワクする、環境にやさしく、目を輝かす夢の工作の達人が、東伊興在住の滝口明治(あきはる)さんだ。


ダンボールで作られた動くクラシックカー
 滝口さんは、漫画家・横山隆一さんの下で修行をし、イラストや工作を手がけるパワフルな75歳。著書も多数あり、朝日小学生新聞の夏休み自由研究・工作部門のアドバイザーもしている。
  写真のクラシックカーは全部ダンボールで
出来ていてモーターが付けられ、電気で動き、人が1人乗れるほど丈夫。全長2メートル、高さ約1メートル。区内小・中学校の文化祭でも、滝口さんのダンボールで作られている恐竜などの作品を見た人も多いと思う。
 このダンボールカーの製作費は1万円もかからず、大きくても6畳一間でできることを実証した作品。「言ったことはやってみせないとね」とにこやか。ダンボールは切断面がのりしろになり、波型は歯車となり、正確に簡単にできるそうだ。
 滝口さんは「工作のプロセスは手を抜けない、抜いたものは駄目」という。そして「3次元ルールが必要」と話す。円周と四角、直角三角形の辺は同じ長さで、それらを組み合わせることで様々な工作ができる。豊かな生活を提供する近代産業は、円周率を利用してできているという。
  「工作は論より証拠で、形を作らないと子どもたちは信用しない」。小学生の物づくりはどうでもいいという風潮もあり、ものづくりの柱を作ることは、地球上の真理と話す。
  また、横山氏のところで仕事をしている時に「人の真似をしてはいけない」と、オリジナリティーの大切さも学んだ。
滝口さんの最初のダンボール工作は、高崎線開通100周年記念で、教育関係から大きな作品を作ってくれという依頼からだった。深谷で最初展示され、子どもたちを楽しませながら沿線を巡った。宇宙飛行士の若田光一さんが最初に宇宙に行く時にも記念のスペースシャトルを依頼され製作。浦和の青少年宇宙科学館で展示され好評を博した。シャトルも汽車も全てダンボールで作ったものだ。
 滝口さんの作品を見て子どもたちがワクワクして、小さなものでも自分で作る喜びを感じてくれることを願っている。自分で自分を磨くことが必要と語る。パソコンやゲームの2次元から抜け出して、大人も子どもも3次元の世界を今年は楽しんではいかがだろう。


円周は四角形と直角三角形の
辺の長さと同じ



綺麗に色づけされた
ダンボール製の鷲