足立朝日

足立区を変えたい LGBTとノンケのコンビ 「エッグ&プリン」 「えんチャレ」に認定

掲載:2023年5月5日号
 4月23日(日)に渋谷で行われた性的マイノリティと多様性を訴える「東京レインボープライドパレード」に、足立区ゆかりのコンビユーチューバーが参加した。
 町田市在住の渋谷りゅうきさん(エッグ)と足立区在住のヒドンナさん(プリン)による「エッグ&プリン」だ。りゅうきさんは女性が恋愛対象のいわゆるノンケで、ヒドンナさんはゲイの女装家。マツコ・デラックスと同じで「ニューハーフではなく女装は趣味。普段は男です。男とか女とかそんなに大事なことじゃない。区別することは必要ですけど」とサラっと話す。
 2人はこの春、あだちエンターテイメントチャレンジャー支援事業(えんチャレ)に、新たな登録団体として認定された。
 りゅうきさんはゲイの芸人で整体師の楽しんごとのコンビ「おいなり」として、ヒドンナさんはソロで歌のライブや街ロケの配信などをしている。マネージャーの坂本さんに引き合わされて、3年前にコンビを結成。以来、個々の活動と並行して、2人でダンスや料理など様々な挑戦を配信している。また、M―1グランプリにも出場し、昨年9月、2回目の挑戦でナイスアマチュア賞を受賞した。
◆学校で講演したい
 滋賀から6年前に上京したヒドンナさんが個人で続けている配信は、毎晩午後8時半から4時間以上。街を歩いて生配信しながら、視聴者とコメントのやり取りもする。小気味よい発言に、20~50代の女性ファンが多いという。もともと歌手志望で、自ら作詞した3曲入りのCD「Cherish」を発売した。
 りゅうきさんは町田でバーを経営。一見強面だが、実はちょっと頼りなく、相方とは真逆のタイプ。えんチャレ応募の理由を、「ヒドンナちゃんが住んでいるので、足立区のお役に立てる何かをしたいなと。ユーモアがあって面白い街なんだよということを、知ってもらえたら」と話す。
 「足立区はLGBTの人が少ないのかな」。女装のヒドンナさんが行った舎人公園のさくら祭りでは、眉をひそめた露骨な注目を浴びたという。「そういうのを変えたい。自分が前に出ることによって、私みたいな人間がいるということを知ってほしい。知らないから差別が生まれるんだと思う」
 りゅうきさんも、生身の当事者を知る意義を実感。「ぼくは全然偏見がないから、みんなにも知ってほしい。話しかけたらヒドンナちゃんは面白いし、自分にない発想をするので1回遊んでみて、と。それに親身になってくれるというか、わかってくれるし」。自身もゲイだと度々疑われるが、「ぼくぐらいじゃないですかね、こんなにLGBTの人と一緒にいるのって」と自負する。
 2人にはライブ以外にもやりたいことがある。
 「学校で講演したいですね。私は小学校でオカマといじめられたし、中学生の時に先生にカミングアウトしたら気持ち悪いって言われた。そういう経験をしている子は多いと思う」とヒドンナさん。当事者だからこそ、同じ悩みを抱えている子も含め、大人になる前に伝えられることがある。
 そして相方のりゅうきさんは、ヒドンナさんたちと垣根のない関係を築いている。両方の立場からLGBTを面白く語ることができる最強のコンビと言えるだろう。

写真/りゅうきさん(右)とヒドンナさん(左)。金髪のウイッグと真っ赤なハイヒールで注目の的