足立朝日

Vol.35桂二葉 独演会

掲載:2023年5月5日号
300年の歴史「落語界」に際立つ個性

 2021年、女性で初めて「NHK落語大賞」(令和3年)を受賞した噺家・桂二葉が、かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスホールで独演会を行う。
 同賞は「若手落語家登竜門」と言われ、二葉は「天狗さし」で10点満点評価を得た。受賞時の会見では「ジジイたち、見たか!」と高らかに吠えた。落語家になって以来、「女性には古典は難しいから仕事を振れない。新作だけしとけ!」「高座返し(座布団をひっくり返す前座の仕事)だけしとけ!」などの厳しい言葉を浴びせられ続けたことへの腹立ちを炸裂させた。
 大賞受賞後には、ニューヨークタイムズやフランスの新聞社から取材を受け、名前のみ海外デビュー。現在、落語会は勿論、ラジオ番組パーソナリティやバラエティ番組などに引っ張りだこだ。視聴者参加型番組「ナイトスクープ」(朝日放送)でも、落語家初の出演者として活躍中。
 二葉が落語家になったきっかけがまた面白い。幼少時から口数が少なく、周囲の目を気にしながら生きてきた二葉は、「何も気にせずにアホができるクラスメイト」に憧れを抱いた。あまり得意ではない勉強では、人物の名前を回答する問題に自分の名前を書いたことがあり、「私のほうがほんまもんのアホやぞ!」と思うがゆえに、大学時代はモヤモヤ状態。「真面目にアホなことをやって生きていきたい」と願う中、笑福亭鶴瓶の落語を聴き「これだ!」と直感。卒業後はスーパーの青果部に勤めながら「人生堂々とアホになれる落語家」を目指す。24歳の時に桂米二に入門したが、鶴瓶ではない理由が「きちんとした古典をやりたい」と明快すぎる。
 現在の髪型は個性的なマッシュルームカットだが、以前はアフロヘア。「コイツ、何考えてんねん!? と興味を持ってもらいたくて」と屈託がない。将来の夢もまた二葉ならでは。「おばあちゃんの落語家がいないので、私がおばあちゃんになるまでやって、どうやって死んでいくんだろうと思ってもらえる落語家になりたい」
 現在、YouTubeで「桂二葉のによによチャンネル」を公開中。慣れない進行が初々しい。
【日時】6月29日(木)午後7時
【料金】3000円、会員料金あり
★未就学児入場不可
【チケット】TEL5680・3333