足立朝日

「津軽三味線全国大会」初出場で準優勝 沢目 真宙 さん(10) 南花畑在住

掲載:2023年5月5日号
二刀流の兄の背中を追って

 人々の心を激しく揺さぶり、活力を与える津軽三味線のパワフルな演奏――。その演奏力を競う「第26回津軽三味線コンクール全国大会」が4月2日(日)に浅草公会堂で開催され、小学生の部に初出場した沢目真宙さんが、準優勝を勝ち取った。音源審査による予選を通過した10名が、個々オリジナルの「津軽じょんから節」を熱く奏で、高学年の出場者が多くを占める中で、4年生にしてこの快挙を成し遂げた。
 兄の真直さん(19)と母親の影響で、津軽三味線に慣れ親しんだ真宙さんは、小1から津軽三味線演奏家「吉田兄弟」の吉田良一郎氏のもとで研鑽を積んでいる。真直さんは、津軽三味線とボート競技の二刀流で本紙に何度も登場した人物で、同じく津軽三味線全国大会準優勝の経歴を持ち、現在は早稲田大学漕艇部で主力選手として活躍中だ。母もまた、本紙登場の民謡歌手・小山みつなさん。民謡を子守歌に育った兄弟は、母と共に多くの舞台に立ち、三味線演奏で花を添え、時には太鼓や踊りも披露する多才さで観客に笑顔と幸せを運ぶ。
 真宙さんは、スポーツと外遊びが大好きな明るく元気な少年で、何事においても一度スイッチが入ると、その集中力がすごい。小1で始めた津軽三味線は、4年弱で全国レベルの腕前となったが、本人は「4年やっていれば上手になるでしょ?」と周囲の驚きが不思議で仕方がないようだ。
 某企業の会長は兄弟の大ファンで、定期的に二人のための演奏会を主催。演奏に聴き入りながら涙する会長の姿を見るたびに、感性豊かな真宙さんは「僕たちの姿を見て、苦労した昔を思い出しているのかもしれない」と、その心をおもんぱかる。
 真宙さんは目下、登校前の朝練習に余念がない。インスタグラムのストーリーズに、その様子を載せ、YouTubeでも「ひろくんの民謡ばんざい!」を公開中だ。
 将来の夢は「良一郎先生のように素敵で、演奏技術がものすごい存在になりたい!」。良き師に恵まれた真宙さんは、家族への想いも深い。「お兄ちゃんは僕のヒーロー!僕もボート競技をやりたい。大谷選手もかっこいいけれど、お兄ちゃんのほうがもっとかっこいい! お兄ちゃんがいるから、僕は何でも頑張れる! お母さんは愛情いっぱいのおいしいご飯を作ってくれて、お父さんは家族のために一生懸命働いてくれる!」――。
 真宙さんの目は、毎晩遅くまでパソコンに向かう、某食品メーカーの凄腕営業マンである父親の真吾さんにもしっかりと注がれている。