足立朝日

中高年を元気にするバンド

掲載:2008年1月20日号


♪生まれた時代はブルースで 青春時代はロッケンロール 大人になったら演歌をうたい 生きて行こうよ 胸はって――
  こんな歌詞が、懐かしいズンチャカのリズムをバックに、高らかに歌い上げられる。間奏にはギターのテケテケテケもあって、青春時代に聴いていた人にはたまらないに違いない。



左から今井さん、野寺さん、リーダー野田浩之さん、
野田重雄さん、金子さん、原島さん

 曲名は「フレンドリージャパン」。昨年、足立区で誕生したバンド『野田浩之&千羽鶴』のこのデビュー曲には、「大人たちを元気にしたい!」という強い想いと願いが込められている。
 リーダーでボーカルの野田浩之さん(55歳・青井一丁目在住)はグループサウンズ時代にバンドデビューし、解散後はソングライターや演奏者としてソロ活動を続けてきた。昨年音楽仲間との話の中で、ギスギスした今の社会の人間関係が話題になった。「ニュースでも、町を歩いている人を見ても、中高年が元気が無い。ぶつかっても謝らない人、やさしい言葉をかけても伝わらない人ばかり。大人がビクビクイライラしていて、何かおかしい」。野田さん自身、街中でそんな出来事に遭遇することが何度もあった。子ども時代を思い返すと、近所のおじさんに怒られながらも、そのやさしさは自然と伝わってきたという。
         

     『フレンドリージャパン』CD  クリスマスコンサートで
  発売中。
販売元=Gypsy STEREO
 ストレスを抱え余裕をなくした中高年のために、何かできないだろうか。野田さんたちは、今の時代、大人が音楽で癒されたくても、若い人向けの曲しかないことに着目。大人が楽しめる曲を作り伝えて行こうと、活動をスタートさせた。
 メンバーは金子雅之さん(リードG)、岸田博芳さん(ドラム)、今井美代子さん(ピアノ)、原島祥泰さん(リードG/ベース)、野寺壮幸さん(ドラム)、野田重雄さん(サイドG)。43~61歳で、いずれもプロの演奏者として長いキャリアを持つ。「伝えるためには生演奏で」と、無報酬でイベントなどでの演奏を続けている。12月に「足立区手をつなぐ親の会」(原木慶子会長)のクリスマスコンサートに出演。「フレンドリー~」のほか、オールディーズを中心に「上を向いて歩こう」「ブルーライト・ヨコハマ」などで、客席を楽しませた。
  「老人ホームなどの施設も回りたい。お呼びがかかれば、どこへでも行きます」と野田さん。静かなアコースティックの演奏もできるそうだ。
  現在、アルバムを制作中。これまでCDの収益は全て寄付してきた。「お金のためでない音楽活動」のスタイルは今後も変えないという。5月には北千住駅西口のライブハウスでの活動も始める。
〈連絡先〉℡080・3007・9947野田