足立朝日

羅針盤 VOL.142

掲載:2023年7月5日号
 7月5日頃には俳聖・芭蕉はどの辺をウロウロしていたのか? 大変興味があるので調べてみた。芭蕉は、旧暦の3月27日(新暦5月16日)に、千住大橋の脇から「おくのほそ道」の旅に出た。
 その本に「六月三日(新暦の7月19日)、羽黒山に登る」とあるから、その頃には、山形県の出羽三山にいた。その前が、例の有名な句「五月雨を集めて早し最上川」だから、7月10日ごろはやはり梅雨の合間の急流見物をしていたのだろう。さらにその前(7月5日頃)が、「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の山形県の立石寺だ。山寺で、ニイニイゼミの鳴く声を聞いたと思ったら、今度は急流下りを思いつく――。とにかく、万象に興味が尽きず、あれもこれもの人で、驚いてしまう。
 ちなみに、今年の山寺芭蕉記念館(山形市大字山寺、TEL023・695・2221)での「第66回全国俳句山寺大会」は、7月9日(日)。興味のある方は、芭蕉よろしく「思い立ったら百年目」でぜひ。小生は2018年(平成30年)の大会に参加したが、感動ものだった。  (編集長)