足立朝日

高校演劇サマーフェスティバル 「足立区立中学校演劇選抜隊」が大活躍

掲載:2023年9月5日号
 「高校演劇サマーフェスティバル2023」(主催=関東高等学校演劇協議会/丸山淳会長)が8月23日(水)・24日(木)にシアター1010で開催された。初日を飾ったのは「足立区立中学校演劇選抜隊」だ。今回は、第六中・第十一中・第十二中・第十四中・蒲原中の5校から参集した42人の生徒が、「となりのエーミール」作/山﨑伊知郎(顧問制作)に挑戦した。
 運動会で色別対抗ダンスバトルが繰り広げられることになり、陰で「エーミール」と呼ばれる絵美里がダンスリーダーを買って出るが……。中高生ならではの「葛藤」が胸に響く舞台を、42人が「演じる」を超越し、「役を生きて」創り上げ、観客を感動の渦に巻き込んだ。緞帳が下りた瞬間、会場からは称賛のどよめきが起こった。
 作者の山﨑氏(蒲原中学校副校長・東京都中学校演劇教育研究会 副会長)は、次のように想いを語った。「題材は、ヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』。今は物事の一面のみを捉えて批判する風潮があるが、その裏には様々な側面があることを伝えたかった」
 横山淳子主任教諭(第十四中演劇部顧問・東京都中学校演劇教育研究会 研究局長)の想いも深い。「過去最多の42人が参加した演劇選抜隊。コロナ禍で制約が多い3年間だったため、今回の経験は貴重な分、負荷も高かったはず。楽しくも厳しい稽古を経て、美しい蝶のごとく孵化した生徒たちに拍手を送りたい。卒業生も沢山観劇に来てくれて幸せな想い」
 同フェスティバルでは選抜隊に続き、次の高校が成果を発表した。
【8月23日】▼北杜市立甲陵高校(山梨)「イティテンディア」作/郷原玲▼東京農業大学第三高校(埼玉)「修学旅行」作/畑澤聖悟▼長野県立岩村田高校(長野)「ジャスティス!」原作/斉名高志、脚本/小森史暁と岩村田高校演劇班▼千葉県立国府台高校(千葉)「ハレハレ。」作/守田慎之介(演劇関係いすと校舎)
【8月24日】▼成蹊中学・高校(東京)「月下~雪の段~」作/宮本浩司(顧問創作)▼栃木県立真岡女子高校(栃木)「白犬伝 ある成田物語」作/タカハシ ナオコ▼横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校(神奈川)「Fib→→→」作/山上駿▼千葉県立松戸高校(千葉)「ある海が見える丘の物語」作/阿部順(顧問創作)
 2日間、来場者は舞台と一体になって楽しんだ。関東高等学校演劇協議会の小野里康則事務局長(群馬県立太田女子高校教諭)は、「来年もまた、多くの方々に舞台を見ていただけたら」と希望。
 高校演劇の聖地であるシアター1010での上演を夢見て、生徒たちは日々研鑽を積んでいる。

写真/「となりのエーミール」の1シーン(撮影=片桐久文氏)