足立朝日

Road ONE朗読劇「龍の袖」 龍馬と千葉佐那の生き様、鮮やかに

掲載:2024年1月5日号
 高松潤さん(青年座)率いる「Road ONE」による朗読劇「龍の袖」(藤原緋沙子原作)が、12月20日(水)・21日(木)、天空劇場で上演された。
 えんチャレ(あだちエンターテイメントチャレンジャー支援事業)公演のため、足立区民は無料。昨年は森鷗外の小説の朗読劇を上演し好評だった。
 今回の主人公は、坂本龍馬の許婚・千葉佐那。北辰一刀流千葉道場の千葉定吉の娘で、剣術に生きようとしていたが龍馬と出会い、激動の幕末を生き抜いた姿が描かれている。佐那役は坂井美乃里さん(元宝塚歌劇団雪組)、龍馬役は高松さん。
 冒頭に北辰一刀流の型の披露があり、一気に物語の世界に。ナレーションを軸に、場面ごとにキャストがマイクの前に立ち、役を演じた。手にした台本を読むだけでなく動きや剣術もあり、臨場感あふれるセリフのやりとりとともに見応えのある舞台となった。佐那と龍馬が竹刀で勝負する場面は迫力ある打ち合いに。丁寧に心情がつづられ、龍馬暗殺を知らされた佐那の慟哭は観客の心を打った。
 21日はアフタートークがあり、原作者の藤原氏と佐那の子孫・千葉まいさんが登場。藤原氏はドラマ脚本家として「暴れん坊将軍」や「はぐれ刑事純情派」などを手がけたが、55歳で小説家に転身。「龍の袖」は2019年の作品で「大変、力を入れて書いた」。「時代小説は今の問題を反映させている。読むことで励みになれば」と明かした。
 千葉さんは高知県観光特使や千葉道場の顧問を務め、剣道大会主催など活動。「幕末の千葉道場は女性も子どもも受け入れていた。誰でも剣術と触れ合える。それを受け継いでいきたい」と語った。

写真/出会ったばかりの龍馬と佐那の場面。
左はナレーターの市橋恵さん(青年座)