足立朝日

(株)ゑびすや商店/辰沼2-11-1 社長 唐鎌 孝行 さん(61)

掲載:2024年2月5日号
『いい物を安く』でお客に奉仕する

 創業の父親・秀貢さん(85)の「がむしゃらさ」をしっかりと受け継ぎ、それをよりスマートに――。インタビューした「足立の安売り王」ゑびすや商店の唐鎌孝行社長の印象は、一言で言うとそんな感じである。
 今年始め、父子はテレビ東京の名物経済番組「カンブリア宮殿」(毎週木曜日、午後11時~)に登場。タイトルは「物価高に負けない 足立区スーパー 安さの秘密と商魂」。
 辰沼のこの場所は、平日から人だかりで、土・日はそれ以上。毎月1日正午から行われる「バカ値市」は、人、人、人。4年前に父の発案で始まったこの市は、店頭のビールケースにジャンパー姿の秀貢さんが上り、「この缶詰め、3個で200円、200円、200円!」とバナナの叩き売りのように値踏みし、次々と売り切っていくイベント。終わると、一袋千円でお菓子などの詰め放題。
 安価に出来る理由は、仕入れルート。量販店などの売れ残りを大量に仕入れたり、大手コンビニなどのキャンセル品を買い取る。そして、このキャッシュレス時代に逆行するような「愚直なまでの現金取引」。「飛び込みセールス」という父親の教えをかたくなに守り、「お客サービス第一」をパートを含めた130人の従業員に実践させている。
 孝行社長は、千住河原町生まれ。質屋をしていた祖母の家に預けられ、花畑小、中川北小に通い、明治中学、高校、大学を出て、リクルートに入社。約4年間勤務した後、秀貢さんに呼び寄せられると半ば観念し「ゑびすや」に入社。2006年、社長に就任してからは足立区を中心に新店舗を増やし、今や7店舗に。
 孝行さんは、カレーライス、スパゲティナポリタン、栗きんとんが大好物、お酒は少々の庶民派で、ゴルフとSF映画が大好きという日常の延長戦上で、さらなる経営戦略を練っている。
【メモ】同社は、TEL3605・6838。HPは、「ABS卸売センター」で検索。