足立朝日

見て聞いて感じて 絵本作家・塚本ユージさん 西新井小で「ライブ絵本」上演

掲載:2024年3月5日号
 足立区在住の絵本作家でデザイナーの塚本ユージさんが、ライブ絵本の上演を2月8日(木)、西新井小学校(加納和彦校長)で行った。
 ライブ絵本は塚本さんが10年前に「親子に命の大切さや、誰もが人生の主人公というメッセージを届けたい」と仲間たちと始めたプロジェクトで、令和5年度は「あだちまちづくりトラスト」の助成を受けて活動している。
 この日の絵本はライブ用に制作した新作「ハレとアメ きらきらあつめっこ」(出版未定)。他人を助けたり優しくするハレと、いじわるしたり自分勝手なアメを通して、「やさしさと思いやり」を考えさせる内容で、ナレーター、ボーカル、演奏家による7人のチームで上演した。
 全校児童約520人の前で、スクリーンに映された絵本のアニメーションとともに朗読。ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの生演奏が場面を彩り、ラストは物語の続きを描いた主題歌で締めくくられた。低学年の子どもたちも、集中して物語の世界に入っていた。
 続いて、塚本さんによるワークショップ。「自分の中にはアメとハレのどっちが多い?」といった質問に多くの手が挙がり、その後のアンケートにも熱心に書き込む姿から、子どもたちが物語と素直に向き合い考えている様子が伺えた。
 終了後、塚本さんがイラストを手がけた日めくりカレンダーが、(一社)ハートリボン協会から全員に贈られた。
 塚本さんは3児の父であり、下2人が同校に在校している。絵本に込めた思いを「自分の持っているやさしさを、身近な人に思いやりとして使うことで安心する。自分の中にあるハレとアメを、気軽に考えるきっかけになれば」と話す。
 匿名で簡単に他人を攻撃する風潮の昨今、「笑顔で助け合うことが、日常のスタンダードになれば」と希望し、大人にも伝わることを期待している。
 「チャンスがあれば、区内の他の小学校でも、地域の力を借りてやりたい」と抱負を語った。

写真上/ステージ上の朗読に合わせて、
左下では演奏も=西新井小学校で
中/塚本さんのワークショップで絵本を深める=同上
下/ライブ用に制作された絵本