足立朝日

「足立カメーズ」代表 大野 正子 さん(83) 中央本町在住

掲載:2024年3月5日号
45年のマラソン人生を胸に刻んで

 マラソンランナーの大野正子さんが「足立カメーズ」を創立し、仲間と共に走り続けて今年で45年――。大野さんの胸には、大会・仲間・足立区などへの想いがギッシリと詰まっている。
 これまで多くのマラソン歴を重ね、100㎞マラソンには5回出場。4回は完走というツワモノでも、苦しかった大会がある。制限時間14時間の四国・四万十大会は、山の中を走るコースで、夕方でも真っ暗。通り過ぎるバイクのヘッドライトを頼りに完走したが、かなり危険で不安だった。
 海外マラソン経験も豊富で、ホノルルのフルマラソンを皮切りに、ニューヨーク・ボストン・シカゴ・ベルリン・パリ・アテネ大会などを次々と制覇。しかし、スイス大会は、行きは下りでも帰りは上りという過酷さで、泣く泣くゴール。「辛いコースこそ記憶に残る」という。様々な大会でマラソン仲間に巡り会い、楽しい時間を過ごしてきたが、「何より楽しいのは、大会後のカメーズメンバーとの青空宴会!」と若々しい笑顔を見せる。
 メンバーの岩城敦子さんは、次のように大野評を語る。「誰にでも声をかけて走る大野さんは仲間が多く、72歳で72㎞走る富士三湖の大会を走りたいと言って、多くの仲間と参加。また、男性ランナーが10年間の奥様の介護を終えて土手に復帰した時には、荒川のフルマラソンを再び走らせてあげたいと見守り隊を結成して走るなど、人を巻き込む力の凄い人です!」
 33歳の時に北海道北見市から上京し、足立区在住歴50年。主に介護を仕事として20年が経つが、誰もが大野さんに全幅の信頼を寄せる様子が目に見えるようだ。
 多くの良い縁を結んだ大野さんであるが、この10月、故郷に帰る。「マラソンは、足立区での人生そのもの。走り出した目的の『若さ』は保ったと思うので、これからの人生はピンピンコロリを目標にして走り続けます!」――3月と5月にメンバーを誘い、カメーズ最後の走りに挑戦する。 
 常に全人格をもって仕事、人、そしてマラソンに向き合ってきた大野さんの、新たな出発に「幸あれ」と心から願う。