足立朝日

国内最大級 生物園 金魚の大水槽10周年 オリジナルグッズも好評

掲載:2024年5月5日号
 生物園の「金魚の大水槽」が10年目を迎え、3月3日(金魚の日)に発売された記念オリジナルグッズが好評だ。金魚の水槽としては、なんと国内最大級。この癒しスポットの裏側について、飼育員に聞いた。

 入口正面で出迎えてくれる大水槽は、気泡が銀色に輝く水中を、色とりどりの金魚が自在に泳ぐ姿が楽しめる。
 2014(平成26)年のリニューアルで完成した当初、水槽の中にいたのは小ぶりの種類が1000匹ほどだったが、現在は大小様々な35種類以上、数は100~200匹。変化の理由を飼育担当の海上智央さんに聞いた。
 「実は金魚は、数が多いと飼育が大変なんです」と意外な答え。簡単に飼えるイメージがあるが、実は病気に弱いのだという。金魚の原種は約2000年前、中国で見つかった突然変異の野生のフナで、観賞用に選別淘汰されたものが500年前頃に日本に伝来した。人工的に品種改良を重ねてきた故に、遺伝的多様性が低いのが弱点。
 そのため、ちょっとした病気で次々に死んでしまったり、金魚同士の闘争によるケガなど、最初の頃は毎朝出勤して水槽を見るのが憂うつだったそうだ。「金魚を年間通して飼育している水族館や動物園は、ほとんどないんです」。潜っての掃除を週1回、検疫作業、菌を駆除する薬を工夫するなど、大水槽の裏には並々ならぬ苦心があった。
 ところで、金魚は懐くのだろうか?「感覚的にはあります。じっと見てくるんですよ。清掃時に近寄って来る子もいます」。また、嗅覚やウロコに伝わる振動によって餌を察知するが、日によって好みが変わることがあり、スタッフ同士で「今日はこの餌の気分じゃなかったみたい」なんて会話もあるとか。
 「1000年程度の短期間で、地味なフナから今の派手な姿に変化した動物は金魚だけ。種類を増やして、華やかな水槽にしたい」。海上さんは大水槽を、魚類、哺乳類、鳥類、昆虫が見られる生物園の象徴とも。「金魚は種類によって、体の色や尾びれの形が様々。生物園のいろいろな生きものも多様だということを、金魚の魅力を通して改めて感じてもらえたら。来た人に、きれいだね、楽しいね、と言ってもらえるのが励み」と話している。
◆金魚のオリジナルグッズ
 マグカップなど4品目14種類のグッズを、区内企業のK-dash、㈲クラ工業とのコラボで製作。イラストはスタッフがデザインした15種類で、和金、琉金、出目金など色や形のバリエーションが豊富。「大水槽にいろいろな種類がいるので、それと見比べられるように選んだ」とショップ担当の綱島さん。4月にはTシャツも新発売。
 トートバッグはB5が入るコンパクトサイズ。2種のデザインに「いろいろな体型、色を楽しんでもらえるように」と計10品種の金魚がいる。透明なアクリルグッズは、特に定規がお土産に人気で、2週間弱で一旦完売したほど。アクリルキーホルダー7種類のどれかが出るカプセルトイも。
 Tシャツ以外は、生物園のオンラインショップでも販売中。
【メモ】保木間2-17-1(竹の塚駅東口から東武バス「花畑団地行き・保木間仲通り経由」で「保木間仲通り」下車徒歩5分)、TEL3884・5577▼開園時間=午前9時半~午後5時(11~1月は4時半)、7月21日(日)~8月31日(土)は午後5時まで開園、入場は閉園30分前まで、月曜休園▼入園料=大人(高校生以上)300円、小人(小中学生)150円

写真上/金魚の大水槽を背に水族飼育班チーフの海上さん
中/人気のオリジナル定規(税込300円)
下/園内ショップの金魚コーナー。トートバッグなどいろいろ