足立朝日

この本

掲載:2024年6月5日号
★「腱鞘炎は1分でよくなる!」(高林孝光著/ワニ・プラス刊/1540円(税込)
 プロ・アマアスリートをはじめ身体の痛みを感じる多くの人々から信頼を得ている著者(アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長)は、フジテレビ系列「ほんまでっか!? TV」に運動機能評論家としても出演中だ。これまで多くの「セルフケア本」を上梓してきたが、「腱鞘炎」に関する同書は、コロナ禍で自宅でのパソコン作業・スマホ操作が増えた時代にマッチしている。高林院長は、それらの使い過ぎによる「パソコン腱鞘炎」「スマホ腱鞘炎」の増加を認識。改善せずに苦しんでいる患者に「痛みのない生活を取り戻してほしい」という思いで、誰にでもできる「セルフケア」を紹介している。
 まずありがたいのは、自分の腱鞘炎の原因を探るための簡単なテスト。筆者は「左手首の痛み」があるが、高林院長によると「手首の腱鞘炎が単体で起こっている場合」と「ひじの腱鞘炎が隠れているケース」があるという。同テストにより、筆者は「手首単体の腱鞘炎」であり、そのうちの「長母指外転筋の腱鞘炎」であることが判明。その場合はどのようなセルフケアを行えば良いかのページを読むと、具体的なマッサージやテーピング方法が判る。普通、手首が痛ければ手首のマッサージをしがちだが、正しいマッサージ位置が一目で判り、数十秒の処置で手首の痛みが軽減することに驚く。
 これまで良い治療成果が出なかった人々に薦めたい著者渾身の一冊だ。