足立朝日

THE環境Vol.3

掲載:2008年4月5日号
◆◇THE環境Vol.3
 冬のファッションを彩る毛皮。コート、手袋、マフラー、飾りとして使われているリアルファー。優美さ上品さのシンボルのように見えるが、毛を刈るのではなく、皮から剥がされているのだ。毛皮の本来の持ち主が、どんな恐ろしい死をとげたか考えたことがあるだろうか。
 通常、毛皮にされる動物たちは口と肛門から電極を挿し込まれ感電死させられる。この方法は、はっきりした意識があるまま心臓発作の強烈な痛みが起こる。首の骨を折る、窒息死などのほか、ウサギ、キツネ、ミンク、アライグマ、タヌキ、犬から猫まで、皮ごと生きたまま剥がされることが多々ある。
 そして皮を頭まで全てはがされた後、死体置き場に捨てられ、その後10~15分で息絶えるという映像も撮影されている。
 アジアでは野良犬や猫が捕獲され、殺される。毛皮を作るためだけに繁殖し、その多くは、染められてキツネやミンクの毛皮として先進国に輸出される。1枚のコートを作る場合、猫なら24匹、犬は12匹が必要という。
 キツネやミンクなどは養殖され、狭い檻の中で、糞尿にまみれた劣悪な環境で飼育され、発狂する。暑さ寒さの中、めまいと嘔吐に苦しんで死んでいく。
 本紙の「愛のしっぽ」の執筆者・マルコさんの故郷、オーストリアは、1998年に毛皮動物飼育場を撤廃・閉鎖。イギリスの高級ブランド「ハロッズ」は「反毛皮」の消費者の増加を受け、毛皮を販売していない。
 しかし、先進国日本は、毛皮に対する法律の規制は一切なく、消費者の認識はあまりにも希薄だ。日本は動物にとっては地獄だ。癒し効果をうたうが、人間が癒されているバックヤードは、何の罪もない動物の残虐死。死骸をコートにくっつけて歩いているのだ。
 消費者として買わない選択をする、毛皮を希望していない旨を経営者などに伝えてゆくなど、人間のエゴはもうやめたいものだ。