足立朝日

この本

掲載:2024年7月5日号
★「366日 天気のはなし 1日1ページで読む空と天気の不思議」菊池真以著/玄光社刊/2420円(税込)
 何と豊かで美しく、心に染み入る本だろう。テレビやネットニュースで人気の気象予報士が、366本の文章と366枚の写真で贈るフォトエッセイ。
 太陽の運行に基づく暦・二十四節気と和風月名を背景に、著者が感じた季節・天気・空・雲・雪・風・太陽・月・花などにまつわる話題を優しい言葉で綴り、著者撮影の自然豊かな写真が読者を優美で贅沢な世界へと誘う。
 自然現象に関する話題も豊富だ。例えば雲は大きく分類すると10種類で、さらに細分化すると100種類にもなり、スイスに本部がある世界気象機関が発行する「国際雲図帳」に全ての雲が網羅され、インターネットで検索できること。桜開花は「2月1日からの最高気温を足して合計していき、600度に達するころに咲く」という法則があり、特例を除き実際の開花日と3日以内の誤差しかないこと。
 ページをめくるごとに新たな知識が吸収されて心が豊かになっていくと同時に、著者のほんわりとした人柄が伝わり、幸せな気持ちで満たされる。1日1話完結のため、誕生日や記念日など、どのページからでも楽しめる。
 ちょっと疲れた時や一歩踏み出せない時、同書で心をリセットしてみると、安らかな明日を予感できる。何度でも言いたい。何と豊かで美しく、心に染み入る本だろう。