勝利の瞬間の笑顔に、思わずテレビの前で拍手を贈った人も多いだろう。千住出身の尾﨑野乃香選手(68㎏級/慶応義塾大)が、パリ五輪のレスリングで見事銅メダルを獲得した。五輪初出場で足立区初メダルの快挙。8月28日(水)には、父・佳史さんとともに区役所を訪れ、報告した。
尾﨑選手は3位決定戦で前大会銀メダリストに勝利。準々決勝敗北の悔しさを乗り越えて、メダルを掴んだ。気持ちの切り替えは、「メダルを持って帰れる実力があるのに、それを出せずに負けを引きずって試合をするのはもったいないと思って」。観客席の家族、親戚、成城学園の友人たちによる応援団も力になった。目指したメダルの色ではなかったが「見に来てくれている人たちのためにも、勝てたことはうれしかった」。
◆4年後に向けて
レスリングを始めたのは小学2年生の時。千住にあるキッズレスリングのジム「Brave」に通い、数々の全国大会で優勝。「足立朝日」は小3の時に初取材。当時から五輪の夢を語っていた。
高校進学と同時にJOCエリートアカデミーに入校。五輪での金メダルを目標に進んできたが、元々の62㎏級の選考で敗れ、2階級上げて勝ち取った代表。体を大きくするメニューをトレーナーに組んでもらい、日々の厳しいトレーニングとともに小食だった食事量も増やして体を作った。
パリでの悔しさを糧に、4年後のロサンゼルスで金を目指すが、出場の厳しさも実感している。今回、日本はレスリングで8個の金メダルを獲得し、層の厚さが鮮明になった。「代表になれなかった人たちも、世界に通用するレベルだということが証明された。その選手たちと代表争いをすることになるので、これからもっと大変。気合を入れ直してやらないと」
毎年の世界選手権で1位を積み重ね、2年半後に始まるオリンピック予選に向かっていくという。
◆イスラムとの懸け橋に
勉学でも優秀な尾﨑選手は、慶應義塾大学の環境情報学部でイスラム文化について研究。イランのレスリング選手やそのファンとの交流をきっかけに、興味を持ったという。
「研究内容は日本でのイスラムとの共生。日本に住んでいるムスリム(イスラム教徒)の暮らしやすさなどを調査をしています」。礼拝所のモスクに足を運び、炊き出しの手伝いも。「地域と共生しているモスクもあって、どうしてそこまで地域に開かれているのかとか」
世界で無理解によるムスリムへの差別や軋轢がある。「日本は偏見も多い。メディアがイスラム過激派と混同して発信したり、どうしたらイスラムをわかってもらえる社会を作れるか、話し合ったりしています」。卒論のテーマは未定だが、女性の被るヒジャブや、レスリングを通して世界のスポーツとイスラムについても書きたいと考えている。文武両道の日々は平坦ではないが、自ら決めた道を力強く進む姿は眩しい。
最後に足立区民に。「会ったことがない方が背中を押してくれるのは、すごくうれしい。足立区にレスリングをやっている選手がいるということを、一人でも多くの方に知ってほしい。同じ地元の選手がメダルを獲ったことで、自分も頑張ろうと思ってもらえれば。まだまだ現役を続行するので、世界選手権も期待してください」。21歳の今後を応援したい。
写真上/区役所を訪れた尾﨑選手=特別応接室で
下/小5の全国大会優勝をした時の笑顔
尾﨑選手は3位決定戦で前大会銀メダリストに勝利。準々決勝敗北の悔しさを乗り越えて、メダルを掴んだ。気持ちの切り替えは、「メダルを持って帰れる実力があるのに、それを出せずに負けを引きずって試合をするのはもったいないと思って」。観客席の家族、親戚、成城学園の友人たちによる応援団も力になった。目指したメダルの色ではなかったが「見に来てくれている人たちのためにも、勝てたことはうれしかった」。
◆4年後に向けて
レスリングを始めたのは小学2年生の時。千住にあるキッズレスリングのジム「Brave」に通い、数々の全国大会で優勝。「足立朝日」は小3の時に初取材。当時から五輪の夢を語っていた。
高校進学と同時にJOCエリートアカデミーに入校。五輪での金メダルを目標に進んできたが、元々の62㎏級の選考で敗れ、2階級上げて勝ち取った代表。体を大きくするメニューをトレーナーに組んでもらい、日々の厳しいトレーニングとともに小食だった食事量も増やして体を作った。
パリでの悔しさを糧に、4年後のロサンゼルスで金を目指すが、出場の厳しさも実感している。今回、日本はレスリングで8個の金メダルを獲得し、層の厚さが鮮明になった。「代表になれなかった人たちも、世界に通用するレベルだということが証明された。その選手たちと代表争いをすることになるので、これからもっと大変。気合を入れ直してやらないと」
毎年の世界選手権で1位を積み重ね、2年半後に始まるオリンピック予選に向かっていくという。
◆イスラムとの懸け橋に
勉学でも優秀な尾﨑選手は、慶應義塾大学の環境情報学部でイスラム文化について研究。イランのレスリング選手やそのファンとの交流をきっかけに、興味を持ったという。
「研究内容は日本でのイスラムとの共生。日本に住んでいるムスリム(イスラム教徒)の暮らしやすさなどを調査をしています」。礼拝所のモスクに足を運び、炊き出しの手伝いも。「地域と共生しているモスクもあって、どうしてそこまで地域に開かれているのかとか」
世界で無理解によるムスリムへの差別や軋轢がある。「日本は偏見も多い。メディアがイスラム過激派と混同して発信したり、どうしたらイスラムをわかってもらえる社会を作れるか、話し合ったりしています」。卒論のテーマは未定だが、女性の被るヒジャブや、レスリングを通して世界のスポーツとイスラムについても書きたいと考えている。文武両道の日々は平坦ではないが、自ら決めた道を力強く進む姿は眩しい。
最後に足立区民に。「会ったことがない方が背中を押してくれるのは、すごくうれしい。足立区にレスリングをやっている選手がいるということを、一人でも多くの方に知ってほしい。同じ地元の選手がメダルを獲ったことで、自分も頑張ろうと思ってもらえれば。まだまだ現役を続行するので、世界選手権も期待してください」。21歳の今後を応援したい。
写真上/区役所を訪れた尾﨑選手=特別応接室で
下/小5の全国大会優勝をした時の笑顔