無いものを作るのが楽しい
アクション映画や刑事ドラマ、特にホラー作品に欠かせないのが、凶器や殺人現場。迫真の本物に見えるかどうかが、作品の出来栄えを左右する。
それを支えているのが特殊造形と特殊メイクだ。傷口やゾンビなど怖いものから、SF的な衣裳や剣など実在しないものも制作。舞台、ライブ、アミューズメントパークなど活躍の場は幅広い。
特殊造形担当の遠藤さんと特殊メイク担当の妻の美生さんで、合同会社TOXICを運営。役者の体に合わせて調整するものもあり、長期間の地方ロケも多いという。コロナ禍で廃業した同業者の仕事が回ってきたこともあり、「ここ1年、ろくに休んでいないです」。最近では交通安全教室のダミー人形を大量に製作。路地裏のアトリエには、着ぐるみの頭や人間の腕、人形たちが並ぶ不思議な光景が広がっている。
今話題のホラー映画「サユリ」に登場する死体は、遠藤さん作。映画「キングダム」の長澤まさみの剣、ミュージカル「新テニスの王子様」の特殊衣裳など、ファンタジックな作品も手掛けた。
遠藤さんの実家は、千住旭町学園通りの文具トラヤ。遊び場はほぼ商店街。子どもの頃から物を作ることが大好きで、材料を店から調達して工作三昧だったという。
専門学校在学中の2009年、ハリウッドの国際メイクアップアーティストのショーで、特殊メイク部門コンペティションの最優秀賞を獲得。「ジュラシックパーク」にも参加したメイクアーティスト・AKIHITO氏の工房に招かれる貴重な体験をした。
多忙を極める日々だが「好きで始めた仕事なので。無いものを作るのが楽しい」と目を細める。依頼されるものに同じものはほとんどない。クライアントと相談し、イメージと実現性を調整しながら試行錯誤を繰り返して形にする。大変すぎてパンクしそうになる時もあるが、何とか出来るという自負がある。「手を動かしながら考える。考えてもその通りにならないので」と笑う。
今後の抱負を尋ねると「ヒット作に関わりたい。やはり作ったものが、人気が出たらうれしい」。精魂込めて生み出したものが、日本中、世界中の人を楽しませる。そんな素晴らしい未来が待っている。
★TOXIC参加の作品▽近未来SF作品「HEART ATTACK」(主演=寛一郎、三浦透子)がFODで秋に配信▽「外道の歌」(主演=窪塚洋介、亀梨和也)DMMで冬配信
写真/特殊メイク担当の妻・美生さんと
アクション映画や刑事ドラマ、特にホラー作品に欠かせないのが、凶器や殺人現場。迫真の本物に見えるかどうかが、作品の出来栄えを左右する。
それを支えているのが特殊造形と特殊メイクだ。傷口やゾンビなど怖いものから、SF的な衣裳や剣など実在しないものも制作。舞台、ライブ、アミューズメントパークなど活躍の場は幅広い。
特殊造形担当の遠藤さんと特殊メイク担当の妻の美生さんで、合同会社TOXICを運営。役者の体に合わせて調整するものもあり、長期間の地方ロケも多いという。コロナ禍で廃業した同業者の仕事が回ってきたこともあり、「ここ1年、ろくに休んでいないです」。最近では交通安全教室のダミー人形を大量に製作。路地裏のアトリエには、着ぐるみの頭や人間の腕、人形たちが並ぶ不思議な光景が広がっている。
今話題のホラー映画「サユリ」に登場する死体は、遠藤さん作。映画「キングダム」の長澤まさみの剣、ミュージカル「新テニスの王子様」の特殊衣裳など、ファンタジックな作品も手掛けた。
遠藤さんの実家は、千住旭町学園通りの文具トラヤ。遊び場はほぼ商店街。子どもの頃から物を作ることが大好きで、材料を店から調達して工作三昧だったという。
専門学校在学中の2009年、ハリウッドの国際メイクアップアーティストのショーで、特殊メイク部門コンペティションの最優秀賞を獲得。「ジュラシックパーク」にも参加したメイクアーティスト・AKIHITO氏の工房に招かれる貴重な体験をした。
多忙を極める日々だが「好きで始めた仕事なので。無いものを作るのが楽しい」と目を細める。依頼されるものに同じものはほとんどない。クライアントと相談し、イメージと実現性を調整しながら試行錯誤を繰り返して形にする。大変すぎてパンクしそうになる時もあるが、何とか出来るという自負がある。「手を動かしながら考える。考えてもその通りにならないので」と笑う。
今後の抱負を尋ねると「ヒット作に関わりたい。やはり作ったものが、人気が出たらうれしい」。精魂込めて生み出したものが、日本中、世界中の人を楽しませる。そんな素晴らしい未来が待っている。
★TOXIC参加の作品▽近未来SF作品「HEART ATTACK」(主演=寛一郎、三浦透子)がFODで秋に配信▽「外道の歌」(主演=窪塚洋介、亀梨和也)DMMで冬配信
写真/特殊メイク担当の妻・美生さんと