足立朝日

『思い出』を映像に再現する「映像調理師」 髙塩 博幸さん(62) 梅島3丁目在住

掲載:2024年10月5日号
「大切な思い出を蘇らせる」

 大切な人との思い出を元にオリジナルのシナリオを作り、テレビ番組並みの演出で映像化するというビジネスを起こした人がいる。
 この人は、髙塩博幸さん(62)。千住1丁目の東京芸術センター10階に「㈱ブルーオーシャンスターズ」を構えている。写真がなくても、思い出のシーンをAIで再現するというやり方は最先端だ。
 髙塩さんの映像「もう一度会いたい」は、完全オリジナルの感動ドキュメンタリー。最近「大好きなお母さん」という作品を作った利根川博さん(仮名)は、15年ほど前に泥棒の被害に遭い、母や家族との思い出の写真が入った大切なアルバムを失った。
 8年前に亡くなった母から「ひろちゃん」と呼ばれていた利根川さん、親戚の協力により見つかった1枚の母の写真を基に、「思い出の映像を作ってほしい」と髙塩さんに依頼。その映像は、母との思い出がぎっしり詰まった親子ふたりだけのオリジナル作品。デパートの食堂でおいしいハンバーグを食べたこと、習いごとの帰り道に星座を教えてもらったこと……。母から言われたかった「ひろちゃんは、本当に偉いわね」の言葉が「天国からの声」として最後によみがえる。
 髙塩さんは、元々JR東海の社員。1980年に入社後、平成4年3月の東海道新幹線300系「のぞみ」の初列車を運転し、12年前の300系ラストランのNHKニュースや特集に出演したという鉄道マン。
 そんな髙塩さんは「映像の世界で働きたい」が以前からの夢。54歳の時、足立区の独立起業セミナーに参加、出会った講師から著名な映像ディレクターを紹介され、個人授業を3年半受けた。57歳でJR東海を辞め、起業。その後、所属する法人会で、北千住にある企業の社長でAI専門家の宮田剛志さん(39)と出会い、AIの技術を伝授された。
 「初めて手掛けた映像作品で先輩から『感動して脚が震えて立てない』という言葉をもらった。それが私の原点」と語る髙塩さんは、「感動」を求め、妻の由美さんとともに東奔西走する。調理師免許を持っているため、自らを「映像調理師」と言い、それを会社の登録商標にした髙塩さんに、調理されたい人来たれ!
【メモ】「㈱ブルーオーシャンスターズ」は、TEL5888・7663

写真/映像を簡単に再生できるビデオリプレイキーホルダーを手に髙塩さん夫妻


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