足立朝日

新田のハイパーレスキュー 中国大地震で救助活動

掲載:2008年6月20日号
◆◇新田のハイパーレスキュー
中国大地震で救助活動

 5月12日に中国四川省で発生した大地震災害で、日本の国際消防救助隊が初の海外隊として派遣され救助活動を行った。
 その中に、足立区新田の第六消防方面本部・消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)所属の隊員も参加していた。島田一郎・同部隊総括隊長(52)、吉楽隆男・機動特科隊隊長(45)、田中一嘉・機動救急救援隊隊長(42)の3人。
  近藤やよい区長が6月4日、新田の本部を訪れ3人を労った。一人ひとりに花束を渡すと、島田総括隊長からお礼にレスキュー隊のキャップが区長に贈られた。
  救助隊の派遣は5月15日~21日までの1週間。現地の様子や救助活動の写真を見ながら、派遣の経緯、活動状況などが詳しく説明された。
 現地は、日本では考えられないような惨状だったという。建物の壊れ方は、「倒壊」ではなく、「崩壊」状態。瓦礫の山や崩落寸前の校舎で、余震の危険にさらされながらの活動は、島田総括隊長に「初めて死を受け入れた体験」と言わせるほどだったという。
  この他、友好的に歓迎されたことや、遺体を発見した母子の父親から「早く娘を返してくれてありがとう」と感謝されたことなども紹介された。
 3人が共通して語るのは、中国の事情などもあり能力を発揮しきれなかったことへのジレンマ。田中隊長は「帰国後の検査で、体に異常がなかったのが悔しかった」、吉楽隊長も「遺体を放置して帰ってきたのが無念でならない」。
  「誰1人ヒーローではない。隊長クラスなら皆同じことができる」と島田総括隊長。今回初の海外での重機使用の有効性に触れ、今後操縦技能のレベルアップをしていきたいと語った。
  近藤区長は「胸がいっぱいで熱い。ハイパーレスキューが新田にあることは区民にとっても心強い。今回の経験を、区民の方にいろいろな機会で話して欲しい」と述べた。


区長と左から島田隊長、吉楽隊長、田中隊長