「五月雨をあつめて早し最上川」――。
もうすぐ鬱陶しい梅雨の季節に突入だ。5月16日(旧暦の3月27日)に千住大橋から「おくのほそ道」に旅立った俳聖・松尾芭蕉は、今頃はちょうど山形県最上川にいて、かの有名な冒頭の名句を詠んでいる。彼の旅は、あらゆることを見聞し、多くの人と対話をしながら俳句を詠むのんびりとした旅だ。
最近、これまでの車通勤から電車通勤に変えた中年の友人がびっくりしたように話す。「始発の電車の中に入ると、本を読む人もいるが、座っている若い人全員が見事なほどにスマホの小さな画面と睨めっこ。みんな、何を見ているのかね?」。すると別の友人が「メールをチェックしたり、ニュースを見たり……。ゲームも多いよね」。
「職場や学校に急ぐ人たちと、旅でのんびりと歩く芭蕉を比較するつもりはさらさらない。でも、スマホに囲まれ、一言も発しないで人をかき分けて電車を降り、降りてからもなお画面を見続けて歩く人たちを見ていると、自分が何か別世界にいるかのような気がして怖いんだよ……。時代が変わった、と納得するしかないのかね?」と私。 (よ)
もうすぐ鬱陶しい梅雨の季節に突入だ。5月16日(旧暦の3月27日)に千住大橋から「おくのほそ道」に旅立った俳聖・松尾芭蕉は、今頃はちょうど山形県最上川にいて、かの有名な冒頭の名句を詠んでいる。彼の旅は、あらゆることを見聞し、多くの人と対話をしながら俳句を詠むのんびりとした旅だ。
最近、これまでの車通勤から電車通勤に変えた中年の友人がびっくりしたように話す。「始発の電車の中に入ると、本を読む人もいるが、座っている若い人全員が見事なほどにスマホの小さな画面と睨めっこ。みんな、何を見ているのかね?」。すると別の友人が「メールをチェックしたり、ニュースを見たり……。ゲームも多いよね」。
「職場や学校に急ぐ人たちと、旅でのんびりと歩く芭蕉を比較するつもりはさらさらない。でも、スマホに囲まれ、一言も発しないで人をかき分けて電車を降り、降りてからもなお画面を見続けて歩く人たちを見ていると、自分が何か別世界にいるかのような気がして怖いんだよ……。時代が変わった、と納得するしかないのかね?」と私。 (よ)