足立朝日

「プロになれた恩返し」 画家・松井純夫さん 保塚図書館に絵を寄贈

掲載:2025年8月5日号
 保塚町在住の画家、松井純夫さん(75)が、7月18日、保塚図書館に絵画を寄贈した。区長応接室で自ら近藤やよい区長に手渡し、区長からは感謝状が贈られた。
 6号のキャンパスに描かれているのは、図書館近くの元渕江公園。人々が釣り糸を垂れる池と、奥の一際大きなメタセコイヤの並木から、一目でその場所とわかる。風景の中には、自身の分身である野球帽の少年と犬の姿があるお馴染みの「わんぱくシリーズ」だ。
 10歳の頃から夢見ていた画家になるため、経営していた会社を50歳で畳み、プロを目指して独学で学んだが、その際に活用したのが保塚図書館。技法だけでなく「絵の歴史も画商に負けないぐらい勉強した。館長にも資料を用意してもらった。保塚図書館なくして今の私はない」。その恩返しをしたいとの思いから、今回の寄贈となった。
 区長から制作期間などについて問われると、「ありのままを描くなら早いが、それだと写真と変わらないので面白みがない」と、あえて上手く描きすぎないことで、魅力ある独自の画風が成立していることを明かした。
 松井さんの絵のタッチは10種類ほどあるそうだが、わんぱくシリーズに代表される透明感のある画風は、「おばあちゃん子で大事に育ててもらったので、自分の心から出てきた癒し系の絵」。
 7、8年前からは夫人の介助をしながらの製作活動のため、遠方への取材旅行はせずに地元の風景を描く「足立100選」に、一歩一歩、取り組んでいる。「足立区にも絵になる風景がたくさんあると知ってもらいたい」。犬を連れた松井少年が、身近な場所を懐かしく照らしていく。
 松井さんの作品が飾られているモダン中華レストラン「西亀有ギャラリー」(西亀有2‐45‐16、TEL6875・8899)が、テレビ朝日「じゅん散歩」(8月放送)に登場予定。

写真上/寄贈した元渕江公園の絵
下/区長から感謝状を受け取った松井さん=区長応接室で