足立朝日

一般社団法人ロボットスポーツ協会 (RSA) 専務理事 古川 拓 さん(59)

掲載:2025年9月5日号
日本初の「ロボスポフェスタ」キーパーソン

 2日間で、延べ1万5千人の来場者を迎え、大盛況のうちに幕を閉じた日本初の公式競技大会「第1回 ロボスポフェスタ in あだち」(主催=RSA/左記事参照)――。ギャラクシティで子どもたちの熱い闘いが繰り広げられ、観客の声援が鳴り響く現場を、フェドラハットを被った男性が動き回っていた。その人こそが同大会のキーパーソン・古川拓さん(RSA専務理事)だ。
 メガバンクの海外支店勤務を終えた後、銀行を題材にして一世を風靡した某テレビドラマさながらの世界は「自分が生きる場所ではない」と考え、躊躇なく退社。「こういう社会でありたいと思う社会をどう築くか」の課題に心が向かい、豊富な知識と経験を基に「ソーシャル・デザイナー」の道へ。
 ロボット競技を楽しんできた若者たちから「自分たちは研究目的やエンジニア養成ではなく、純粋にロボット競技の魅力に惹かれて取り組んできた。ロボット競技の楽しさを、誰もが体験できる社会にしていきたい」と話を聞いたことで一念発起。「スポーツとエンターテインメントとして社会に広めよう」と話し合い、2023年12月にRSA、昨年1月に㈱ロボットスポーツリーグ、さらに2月に㈱ロボットスポーツゲームズを立ち上げた。
 現在、RSAは「技術教育」「チームワーク」「地域連携」をテーマに、ロボットを使った新しい競技文化「ロボットスポーツ」の普及に取り組んでいる。「教育・ものづくり・エンタメを融合させた次世代型イベントとして、地域・企業・行政との連携を深め、持続的な展開を目指していく」との古川さんの言葉を具現化したのが、まさに今回のロボスポ大会であった。
 ここで大活躍したのは、ロボスポグループ全体の実質的なリーダー・RSA理事の三宅章太さん(大阪大学大学院基礎工学研究科講師)だ。三宅さんを始め、各グループは優秀な人材の宝庫。「ねんねこや」(千住旭町)の木村里紗さんも、競技開発部長として活躍。一同、2030年の世界大会を目指し、動き出している。
 今後、他地域での活動が盛んになるが、「ロボスポの最初の地域連携のモデルは足立区。北千住マルイでイベントを開いた時は、近藤やよい区長が来てくださった。物件が無く、町屋にラボを構えているが、大好きな足立区にいつか拠点を設けたい」――。古川さんの足立区愛が止まらない。

写真上/古川さん
下/三宅さん