足立朝日

足立区初の女性教育長 齋藤 幸枝さん(59歳)

掲載:2007年12月5日号
足立区初の女性教育長
齋藤 幸枝さん(59歳)

 この7月13日、足立初の女性教育長が誕生。就任と同時に、怒涛(どとう)のごとく押し寄せた学力テスト問題に直面した齋藤教育長は、度重なる記者会見を経て、「学力向上は必要」という思いを新たにした。
  自身が教育委員会学務課長であった6年半前、「学校選択制」を導入。子どもたちが、自分の行きたい学校へ行ける環境を整えた。
 しかし、課題もあるため、さらに内容を検討中。自分の人生をより豊かにするには、少なくても「読み書き計算」の基礎基本は何よりも大事。それをこなして初めて、物事への興味を持つこともでき、それが自分の歩む人生の第一歩と成り得ると考える。それゆえに、「学力向上」の大切さと必要性を説く。併せて、部活動や遊びを通して他者とのコミュニケーション能力を高められれば、人生はさらに豊かになることを、子どもたちに伝えたい。

試練を乗り越えて結束
 今、企画中なのは、各学校の図書室を利用した自習室の設置。午後いっぱい専任者を置き、子どもたちが自由に活用できるようにする。空き教室利用でも良く、早速5校が実施する予定だという。 この企画は、某中学校の校長から聞いた「生徒が学校に残って勉強したいと言ってきた」という話がヒント。現在、その中学校では放課後の補充教室を徹底し、上位の高校への進学率を高めている。
 さらに卒業生が、長期休暇時のボランティア講師として母校で後輩の指導にも当たる。このような、「学べる環境での学びの連鎖」がごく当たり前に行われるようになれば、基礎基本をはるかに超えた学力向上に結び付き、個々の人生の選択の幅も大きく広がる。
  自身は理系。群馬大学医学部附属衛星検査技師学校を卒業後、製薬会社の研究室に勤めたが、思うことあって公務員に転向。これもまた、幅ある人生の選択の結果である。
  現在の教育委員会は、試練を乗り越えた結果、風通しの良い中で職員一同の結束力も高まっている。今後の教委の在り方に区民の期待がかかる。