足立朝日

東京都が魅力をPR 足立区は最多12軒 宮造りの「東京型銭湯」

掲載:2025年11月5日号
 銭湯といえば、寺のような建物を思い浮かべる人も多いだろう。街中に不意に現れると、なんとも言えない不思議な感動を覚える存在が「東京型銭湯」だ。
 入口の曲線の屋根「唐破風」、その下にある飾り彫刻の懸魚。どちらも寺や城に見られるものだが、外観だけでない。脱衣場は「格天井」で、格子状の板の1枚1枚に絵が描かれているところもあり、まさに観光地の寺社の風情。浴室にはペンキ絵、縁側や庭園がある銭湯もある。
 この「宮造り」の銭湯は実は東京特有。関東大震災後の復興の際に都民を元気づけようと、宮大工が腕を振るって豪華な銭湯を建てたところ大人気となり、次々に造られたという。今、同じものを造ることは不可能で、まちの貴重な資源として注目されている。
 東京都は10月3日、台東、品川、大田区の銭湯4軒を「都選定歴史的建造物」に指定、保存の機運が高まっている。また、都では銭湯文化と建物の魅力を発信するため、10月10日の「銭湯の日」にタレントの宮川大輔さんを東京型銭湯大使に任命。都内銭湯ではデジタルスタンプラリーも実施している。
 現在、東京型銭湯は82軒。そのうち足立区には最多の12軒あり、他区に誇れる財産である。東京型銭湯の詳細は東京都のサイトで(QRコード)。
【区内の東京型銭湯】
 梅の湯(千住旭町41-11)、美登利湯(千住旭町25-11)、大和湯(柳原2-43-1)、タカラ湯(千住元町27-1)、金の湯(千住柳町36-8)永泉湯(西新井3-10-2)、明美湯(梅田4-40-21)、曙湯(足立4-22-3)、大和湯(島根2-19-7)、星谷浴泉(扇1-34-3)、江北湯(江北2-27-6)、松乃湯(保木間5-5-10)

写真/銭湯に掲示されたPRポスター