足立朝日

　ギャラクシティの一室に、重なり合う大勢の歌声が響く。マイクを通さない生の声ならではの、体を揺さぶる迫力がある。
　歌声の主は一般公募で集まった約１００人。１月の大舞台「足立区第九演奏会」に向けて、９月から練習を重ねている。
　東京藝大の同期出身者で結成された「ミレニアムシンガーズ」が企画、ギャラクシティに提案し実現したもの。代表の石本高雅さんは「日本でクラシックの敷居の高さをなくすには、一緒に歌うこと。オペラ歌手が身近にいることは、なかなかないと思うので。地域に愛される団体になれれば」と抱負を語る。
　取材した11月26日は８回目の練習日で、初めて４つのパ
ートを合わせ通して演奏した。参加者は音程やドイツ語の難しさに苦戦しながらも、ミレニアムのメンバーの指導のもと、伸び伸びと大きな声を出していた。
　最年少は２人の小学２年生。鈴木佳純さん（区内在住）は、母純子さんと。１年時に授業で日本語の第九を習い「リズムが楽しい。サビのところが好き」と参加。想定外のドイツ語歌唱に苦戦中だが、純子さんも「声楽の方が教えてくださるので刺激になる」と話す。文京区から通っている北野智大さんはチラシを見て参加。「音楽が好きで、楽しい！」と満面の笑顔。
　最高齢は96歳の櫻井弥生さん（区内在住）で、娘の美和さん（60代）とともに。弥生さんは若い頃に全国のコンクールの出場実績があり、現在も地元のコーラスに参加している。母娘別々に第九歌唱の経験はあるが「２人で一緒に歌いたいね」と申し込んだ。弥生さんは「とても楽しい」、美和さんは「念願が叶った」と喜ぶ。合唱好きで越谷在住の高橋詩佳さん（中２）は、貴重な機会を楽しんでいる。
　本番当日はオーケストラ約70名との大規模な演奏になる予定という。石本代表の東京藝大での恩師、萩原潤さん（バス）も出演。本格的なクラシック音楽をリーズナブルに聴けるまたとない機会、ぜひ足を運んでみては。
【日時】１月８日（木）午後７時開演（６時30分開場）
【場所】ギャラクシティ西新井文化ホール
【料金】全席指定１０００円（中学生以下保護者同伴）、未就学児入場不可
【チケット予約】ギャラクシティ（窓口・インターネット・電話）、地域学習センター等の区内施設
【曲目】▽第一部＝オペラ《椿姫》より「乾杯の歌」、オー・ソレ・ミオ他▽第２部＝ベートーヴェン交響曲第９番より４楽章「歓喜の歌」
【出演】影山亜由子、岡庭歩美、石本高雅、坂寄奏太、渡辺彩乃、山元三奈、倉林かのん、小野颯介、萩原潤
【問合せ】TEL５２４２・８１６１ギャラクシティ（午前９時～午後８時・休館日除く）

写真下／ミレニアムシンガーズの指導を
真剣に聞く、合唱団の練習風景