足立朝日

グッズの企画やデザイン 足立区生物園 ミュージアムショップ担当 綱島 歩美 さん(30)

掲載:2026年3月5日号
グッズが生きもの好きの入口に

 金魚の定規、蛍が光るトートバッグ、生きものをイメージしたコーヒーなど充実したグッズの数々。ミュージアムショップの面積に対する売上は、国内トップクラスとも言われる。
 入社したのは、コロナ禍で休園中の2020年4月。在宅でのスタートとなったが、「ゆっくり見直しが出来て態勢が整えられた」。逆境を逆手に翌年にはオンラインショップを立ち上げ、完全開園の22年には過去の倍の売り上げとなった。
 子どもの頃から生きものと、生きものの絵をかくことが好きで、水族館のショップで出会ったぬいぐるみに魅了された。高校時代に海洋プランクトンの調査を始め、東京海洋大学で本格的に研究。「流れに逆らって泳げないので、1mのクラゲもプランクトンなんですよ。顕微鏡を通さないと見えないものの中には、宝石みたいなカラフルなものもいる」と目を輝かせる。
 生物園ではグッズの企画とショップの運営を担当。スタッフが描いたイラストをデザインとして落とし込み、商品を生み出す。自身でイラストも手掛けたのは、モルモット柄の靴下。腹側と背側が描かれていて、一足で全身の姿がわかるという優れものだ。「生物園ならではの、学びのあるデザインを心掛けている」
 ショップでは、飼育生物の体の一部もグッズになる。本物のヘビやゴキブリの抜け殻もあり、え、ゴキブリって脱皮するの? と驚くが、そこが狙い。「ゴキブリ展は嫌がって見ない人たちも、ショップでは見てくれる」。そこで、生態に気づくきっかけになればシメタモノ。「雑貨店と違って売れる売れないではないので、置く意味のあるものを、ここで買う意味を大切にしている」と真っ直ぐに話す。
 その情熱で、昨年7月に販売したグンディのぬいぐるみは、予想を超えるヒットとなった。国内の飼育は2施設のみで知名度が低いからこそと、モルモットとの違いもしっかり再現。特にこだわったのが、「筋肉質の美しいお尻。これがないと岩を駆け上がれないので」。かわいいだけではない、生きものへの敬意と愛情が滲む。
 「グッズを通して生きものの魅力を伝えたい。持ち帰ってもらうことで、その生きものに興味を持ってもらえて、身近な存在になれる」。水族館のぬいぐるみと運命的な出会いを果たした、自身の経験がそこにある。
 今後の抱負を聞いてみた。「マニアックな生きもののグッズも網羅したい。生きもの好きの気持ちを肯定できるようなグッズ」。この野望の裏には、ゴキブリ好きな女の子の来園者の存在がある。なかなか理解してもらえないその「好き」を応援したいのだという。「300種ぐらい居るので難しいけど」
 澄んだ笑顔が頼もしい未来を感じさせる。