出会いとワクワクが原動力
何気ない路地、古びた窓枠や天井、人々の笑顔――書籍「千住暮らし 12stories」を彩るどの写真からも、寄り添うようなあたたかい気配が滲む。
元々、映画が好きで映像専攻の学校に通いながら、独学で写真を学んだ。カメラ機材レンタル店に勤める傍ら、休日に写真の仕事を請け負う中で、2023年に始まったWEB版「#千住暮らし」に初回から参加。「その頃はまだ、写真1本でやっていくとは思っていなかった。自分の撮るものに自信がなく、僕の写真でいいのかな、と」
まちに関わって撮影を重ねていくうちに、「その人の生活感、通っているお店や遊び場所を、身近に知れるのが楽しい。普段は立ち入れない場所に許可を得て、カメラマンとして入れることにワクワクする」と手応えを実感。「どうせ少ない給料なら、好きなことをやろう」と退社し、22年に伊澤写真館をオープンした。
場所は千住の古民家施設「(仮)コーミンカン!」の2階。靴を脱いで狭い急階段を上がると、人の家を訪れたような不思議な感覚に包まれる。18平米と狭いが、距離の近さを生かして相手の性格や希望を探りながら、最高の表情を引き出す。緊張していた子どもも、冒険を楽しんだ後のようにはしゃいで帰っていく。
「写真の技術より、コミュニケーションの技術。慣れた撮影は1つもない。でも楽しいので、笑いながら撮っている」。本人たちも知らない魅力を写し取られた家族の写真が、それを物語っている。
伊澤さんの根源には、常に人と場所との出会いへの喜びがある。21歳でニュージーランドにワーキングホリデーとして1年間滞在。初の海外で英語も話せなかったが、海外経験者の話を聞いて「楽しそう!」と実行に移したというから、驚くべき行動力だ。テカポの街で見た星空の美しさに圧倒され、泣いた。「ちゃんと写真を勉強して撮りに来よう」。その決意通り、10年後に実現させ、写真集も作成した。
これまで旅したのは約30カ国。「文化、宗教、コミュニケーション方法も違う。言葉が通じないところに行くアウェー感が楽しい。それが千住での写真のワクワク感と似ている感じがする」。市場やマーケット屋台など、「現地の人の日常に触れるのが好き」。
6月に訪れたウズベキスタンでは思わぬトラブルに見舞われたが、白タクの男性が世話を焼いて助けてくれた。「イスラムに抵抗のある日本人が多いけど、理解していないから。めっちゃ優しいですよ。日本人は八方美人的な優しさだけど、イスラム圏の人は一歩踏み込む優しさ」と例える。
「これからも、まちに関わることをしていきたい」。自然体の眼差しが、千住と世界で暮らしを写す。 《関連記事1面》
【メモ】伊澤写真館(千住旭町36-5-2階、info@izawa-photostudio.com)
何気ない路地、古びた窓枠や天井、人々の笑顔――書籍「千住暮らし 12stories」を彩るどの写真からも、寄り添うようなあたたかい気配が滲む。
元々、映画が好きで映像専攻の学校に通いながら、独学で写真を学んだ。カメラ機材レンタル店に勤める傍ら、休日に写真の仕事を請け負う中で、2023年に始まったWEB版「#千住暮らし」に初回から参加。「その頃はまだ、写真1本でやっていくとは思っていなかった。自分の撮るものに自信がなく、僕の写真でいいのかな、と」
まちに関わって撮影を重ねていくうちに、「その人の生活感、通っているお店や遊び場所を、身近に知れるのが楽しい。普段は立ち入れない場所に許可を得て、カメラマンとして入れることにワクワクする」と手応えを実感。「どうせ少ない給料なら、好きなことをやろう」と退社し、22年に伊澤写真館をオープンした。場所は千住の古民家施設「(仮)コーミンカン!」の2階。靴を脱いで狭い急階段を上がると、人の家を訪れたような不思議な感覚に包まれる。18平米と狭いが、距離の近さを生かして相手の性格や希望を探りながら、最高の表情を引き出す。緊張していた子どもも、冒険を楽しんだ後のようにはしゃいで帰っていく。
「写真の技術より、コミュニケーションの技術。慣れた撮影は1つもない。でも楽しいので、笑いながら撮っている」。本人たちも知らない魅力を写し取られた家族の写真が、それを物語っている。
伊澤さんの根源には、常に人と場所との出会いへの喜びがある。21歳でニュージーランドにワーキングホリデーとして1年間滞在。初の海外で英語も話せなかったが、海外経験者の話を聞いて「楽しそう!」と実行に移したというから、驚くべき行動力だ。テカポの街で見た星空の美しさに圧倒され、泣いた。「ちゃんと写真を勉強して撮りに来よう」。その決意通り、10年後に実現させ、写真集も作成した。
これまで旅したのは約30カ国。「文化、宗教、コミュニケーション方法も違う。言葉が通じないところに行くアウェー感が楽しい。それが千住での写真のワクワク感と似ている感じがする」。市場やマーケット屋台など、「現地の人の日常に触れるのが好き」。
6月に訪れたウズベキスタンでは思わぬトラブルに見舞われたが、白タクの男性が世話を焼いて助けてくれた。「イスラムに抵抗のある日本人が多いけど、理解していないから。めっちゃ優しいですよ。日本人は八方美人的な優しさだけど、イスラム圏の人は一歩踏み込む優しさ」と例える。
「これからも、まちに関わることをしていきたい」。自然体の眼差しが、千住と世界で暮らしを写す。 《関連記事1面》
【メモ】伊澤写真館(千住旭町36-5-2階、info@izawa-photostudio.com)











