足立朝日

ニコニコ湯店主が開発 いぐさ湯からカラビナに

掲載:2026年8月5日号
 足立区の銭湯が年1回実施している「いぐさ湯」で使用したいぐさが、カラビナに生まれ変わった。このユニークなアイデアに挑戦したのは、ニコニコ湯(千住柳町2-10)店主の鈴木秀和さん。
 足立区の銭湯では地方と連携して規格外の農産物を活用し、毎月「香り湯プロジェクト」を実施している。その一環として、国内生産トップである熊本県八代市のいぐさを使った畳の端材を湯に浮かべる「八代いぐさ湯」を、2021年から行っている(今年は6月28日に実施)。いぐさは古くから抗菌効果や森林浴効果があると言われており、またバニラエッセンスと同じ成分が含まれていることから、ほのかに甘い香りの湯になる。
 使用後は廃棄してきたが「捨てずに何かできないか」と考えた鈴木さんが、プラスチック製造会社の友人に相談。いぐさは水分量が少ないためプラスチックに再生可能とわかり、千住の銭湯に呼びかけて5店舗から回収。ニコニコ湯敷地内に広げて3カ月ほどかけて乾燥させ、10㎝ほどの長さにカットしたものを工場で粉末にして、プラスチックを混ぜてペレット状にしてから、カラビナに成型した。配分はいぐさ51%、プラスチック49%。
 20㎏弱のいぐさから、300個のカラビナが出来上がった。渋いチャコールグレーの中に植物の繊維が粒状の模様になっていて、他にはない味わいがある。「何に付けても合いそう」と、鈴木さん自身キーケースに付けて半年使っているが強度に問題はなく、多少濡れても大丈夫だという。
 販売用の台紙には「RE BORN TO LOVE IGUSA」のプリント。ニコニコ湯3代目を継ぐ前に印刷会社で磨いた腕を生かし、ロックバンド・クイーンの曲名をもじって鈴木さんがデザインした。価格は1個1650円(税込み)と高めだが、利益はほぼない。また、売上の一部を熊本地震の寄付金に充てる。捨てられてしまうものが、再活用されることに意義がある。
 「売るのが目的ではなく、風呂屋でこういうことができるということを知ってもらえれば」。今回はタイミングが合わず組合や行政の協力が得られなかったので、独自の挑戦となった。
 今はニコニコ湯、交流のある他区の銭湯でのみ販売しているが、希望があれば卸すことも可能という。製造過程がわかるように、販売先の展示用にペレットもつくので、見た人が環境について考える機会になりそうだ。
 「反響が多ければ、来年は賛同してくれる人たちと作りたい」と鈴木さん。新しい取り組みが広がっていくことを期待したい。
【問合せ】ニコニコ湯=Xアカウント(@nico25u)にDM、もしくはTEL3882・6645(午後3時~)

写真上/カラビナ・上は原料のいぐさ
下/ニコニコ湯店主・鈴木秀和さん