足立区ゆかりの本の出版が相次いでいる。学びを深めるものから、区内を旅するガイドまで、読書の秋のお供にいかが?

◆「江戸の大規模開発
東京東部の穀倉地帯」多田文夫著(吉川弘文館「歴史文化ライブラリー646」)
足立区立郷土博物館・学芸員の著者・多田さんは、これまで歴史研究に関する共著はあったが、単著は初。「23区の東エリア全体を捉えた本があまりない」と出版を決めたという。
海抜ゼロメートル地帯を含む江東五区(足立、葛飾、墨田、江東、江戸川)、埼玉県の越谷、岩槻などの一帯を「江戸東部平野」として、江戸川、中川、荒川、隅田川の治水と用水、江戸の穀倉地帯として開発された400年の歴史を解説している。
河川の多い足立は農業用水には困らないと思いきや、海水が遡上する汽水で塩分を含むため、使えないという。荒川の上げ潮では越谷や秋ヶ瀬まで達するそうで「千住新橋や綾瀬橋でも海の匂いを感じる時がある」とのこと。「1つの村が出来るまでに1世代かかっている」。遡上は舟が双方向に動く水運の利点もあったが、水害の弱点もある。
「昔から足立の風習で、大事なものは2階に置いていたんです」。江戸の貴重な資料が民家に残るのは、こうした先人たちの知恵による。水害が多発する昨今、未来への危機感も込められている。
(9月1日発行/四六判・224頁/税込1980円)
◆「実景を描く 江戸後期風景描写をめぐる知の営み」鶴岡明美著(思文閣出版)
鶴岡さんは足立区郷土博物館調査員、昭和女子大学大学院教授。「実景」は江戸後期、実際の風景を見たままに写しとろうと試みた作品群。その背景にある権力関係などを探り、近世絵画史の一様相を読み解く専門書。第6章「共有された実景―南山古梁文・谷文晁画『宮城野聚勝園記』」は、江北の舩津家文書を元にした研究で、美術史学会で高評価。
(3月発行/A5上製・418頁/税込1万1000円)
◆「江戸時代流行大全」堀口茉純著(淡交社)
足立区出身で、江戸文化に造詣の深い歴史タレントとして活躍中の「ほーりー」の最新刊。テーマは江戸のブーム。オシャレ、グルメ、ホビーなどを3章に分け、それぞれの流行がなぜ生まれ、どんな社会現象を巻き起こしたのかを親しみやすい語り口でわかりやすく解説。浴衣は入浴後に肌の水分をふき取るためのバスローブだったことや、葛飾北斎がデザインしたアクセサリー類など、目からウロコのあれこれが詰まっている。
「見開きに1点必ず江戸時代の絵画資料が入っていて、目で見て江戸時代のブームがわかります。挿絵を見るだけで当時の文化の豊かさが伝わって楽しいと思います」と堀口さん。日本独自の文化が生み出された江戸への理解が楽しく深まる1冊。
(9月4日発行/四六判・224頁/税込2200円)
◆「地球の歩き方 足立区」(㈱地球の歩き方)
海外旅行ガイドブックとして親しまれている「地球の歩き方」。国内版はコロナ禍を機に2020年から30タイトル以上出版し、予想を超えたヒットとなっている。
足立区は23区では世田谷区、杉並区、墨田区に続く第4弾。区内の鉄道やバスを網羅した交通ガイド、7つのエリアごとに見どころや店を紹介するエリアガイドに加え、グルメ、商店街、銭湯、ドラマロケ地など情報が満載。歴史コーナーの年表は原始時代から2025年まで4頁にわたって網羅されている。
(9月17日発行/A5変形・368頁/税込2310円)
◆「歌集 山吹の花」小野久美子著(いりの舎)
区内在住の小野さんは、美術史を専攻し、新聞社文化部勤務の経歴を持つ。宮城県美術館・佐藤忠良記念館の現地保存の活動に奔走。昨今の美術館や図書館の在り方への疑問や、社会問題への思いを短歌に込めた1冊。表紙写真は伊澤直久さん。
(8月17日発行/四六判・228頁/税込1980円)
写真上/多田文夫さん
下/堀口茉純さん

◆「江戸の大規模開発東京東部の穀倉地帯」多田文夫著(吉川弘文館「歴史文化ライブラリー646」)
足立区立郷土博物館・学芸員の著者・多田さんは、これまで歴史研究に関する共著はあったが、単著は初。「23区の東エリア全体を捉えた本があまりない」と出版を決めたという。
海抜ゼロメートル地帯を含む江東五区(足立、葛飾、墨田、江東、江戸川)、埼玉県の越谷、岩槻などの一帯を「江戸東部平野」として、江戸川、中川、荒川、隅田川の治水と用水、江戸の穀倉地帯として開発された400年の歴史を解説している。
河川の多い足立は農業用水には困らないと思いきや、海水が遡上する汽水で塩分を含むため、使えないという。荒川の上げ潮では越谷や秋ヶ瀬まで達するそうで「千住新橋や綾瀬橋でも海の匂いを感じる時がある」とのこと。「1つの村が出来るまでに1世代かかっている」。遡上は舟が双方向に動く水運の利点もあったが、水害の弱点もある。「昔から足立の風習で、大事なものは2階に置いていたんです」。江戸の貴重な資料が民家に残るのは、こうした先人たちの知恵による。水害が多発する昨今、未来への危機感も込められている。
(9月1日発行/四六判・224頁/税込1980円)
◆「実景を描く 江戸後期風景描写をめぐる知の営み」鶴岡明美著(思文閣出版)
鶴岡さんは足立区郷土博物館調査員、昭和女子大学大学院教授。「実景」は江戸後期、実際の風景を見たままに写しとろうと試みた作品群。その背景にある権力関係などを探り、近世絵画史の一様相を読み解く専門書。第6章「共有された実景―南山古梁文・谷文晁画『宮城野聚勝園記』」は、江北の舩津家文書を元にした研究で、美術史学会で高評価。(3月発行/A5上製・418頁/税込1万1000円)
◆「江戸時代流行大全」堀口茉純著(淡交社)
足立区出身で、江戸文化に造詣の深い歴史タレントとして活躍中の「ほーりー」の最新刊。テーマは江戸のブーム。オシャレ、グルメ、ホビーなどを3章に分け、それぞれの流行がなぜ生まれ、どんな社会現象を巻き起こしたのかを親しみやすい語り口でわかりやすく解説。浴衣は入浴後に肌の水分をふき取るためのバスローブだったことや、葛飾北斎がデザインしたアクセサリー類など、目からウロコのあれこれが詰まっている。
「見開きに1点必ず江戸時代の絵画資料が入っていて、目で見て江戸時代のブームがわかります。挿絵を見るだけで当時の文化の豊かさが伝わって楽しいと思います」と堀口さん。日本独自の文化が生み出された江戸への理解が楽しく深まる1冊。(9月4日発行/四六判・224頁/税込2200円)
◆「地球の歩き方 足立区」(㈱地球の歩き方)
海外旅行ガイドブックとして親しまれている「地球の歩き方」。国内版はコロナ禍を機に2020年から30タイトル以上出版し、予想を超えたヒットとなっている。足立区は23区では世田谷区、杉並区、墨田区に続く第4弾。区内の鉄道やバスを網羅した交通ガイド、7つのエリアごとに見どころや店を紹介するエリアガイドに加え、グルメ、商店街、銭湯、ドラマロケ地など情報が満載。歴史コーナーの年表は原始時代から2025年まで4頁にわたって網羅されている。
(9月17日発行/A5変形・368頁/税込2310円)
◆「歌集 山吹の花」小野久美子著(いりの舎)
区内在住の小野さんは、美術史を専攻し、新聞社文化部勤務の経歴を持つ。宮城県美術館・佐藤忠良記念館の現地保存の活動に奔走。昨今の美術館や図書館の在り方への疑問や、社会問題への思いを短歌に込めた1冊。表紙写真は伊澤直久さん。(8月17日発行/四六判・228頁/税込1980円)
写真上/多田文夫さん
下/堀口茉純さん











