医学博士・『医説徒然草』を執筆
小沢 昭司 さん(80歳)
千住一丁目在住
地元の人なら誰でも知っている小沢内科・胃腸科医院の先生が、本を出していることは、ほとんど知られていないだろう。
『徒然草』を斬新な視点で分析した随筆『医説徒然草』(朝日新聞社・税抜き1143円)が、昨年発行された。徒然草全243段のうち、医・薬・性に関するものが少なくとも25段あることに着目。
現役の開業医ならではの知識で、当時の風俗や治療法の間違い、兼好の人柄などを綴っている。
中学生から古典が好きで『徒然草』は愛読書の一つだったが、職業柄、理系一辺倒。65歳頃、医師会の会報に載せる随筆を頼まれるまで、文章を書いたことはなかったという。
自分の記録を孫たちに残したい
10年前、胃がんの手術をして命を取り留めたことが、発行のきっかけとなった。「何かを残しておきたい」。その想いから、回を重ねた会報の随筆をまとめて加筆し、処女作『処々有情』が誕生。今回の2冊目につながった。
『医説~』はストレスや認知症、艶っぽい話まで、医学と人体についてのわかりやすい解説が、ふんだんに盛り込まれている。
パソコンが使えないため、調べ物をするのに中央図書館に20分歩いて通いつめた。
健脚だが「体にいいことは何もしていない」と、医者の不養生をケロリと告白。年中心配しない方が体にはいいという。考えすぎて体を壊している患者を、何人も診てきた。
息子さんが継いだ医院で週2回、今も診察を担当する。昔外科医だったこともあり、医者が悪者のように報じられる今の状況に、もどかしさを覚える。「医者は神様仏様じゃないから、誠心誠意やっても救えないことがある。医者も人なんだ」。
現在は3冊目を計画中。「死ぬまで書こうと思っている」。『医説~』では、編集者に3分の1近く文章を削られて惜しい思いをしたが、「次の本は孫たちが思い出してくれるための記録。おじいちゃんはこうだった、と後で読んで知ってくれれば」と、思いのままに書く予定だ。
「宿題に毎日追っかけられている感じ。小学生みたい。退屈しないですね」。いたずらっぽい顔で笑う。
「あるべき」という言葉で自分を縛ることを嫌う。小沢さんの生き方が伝わる1冊になるに違いない。
小沢 昭司 さん(80歳)
千住一丁目在住
地元の人なら誰でも知っている小沢内科・胃腸科医院の先生が、本を出していることは、ほとんど知られていないだろう。
『徒然草』を斬新な視点で分析した随筆『医説徒然草』(朝日新聞社・税抜き1143円)が、昨年発行された。徒然草全243段のうち、医・薬・性に関するものが少なくとも25段あることに着目。
現役の開業医ならではの知識で、当時の風俗や治療法の間違い、兼好の人柄などを綴っている。
中学生から古典が好きで『徒然草』は愛読書の一つだったが、職業柄、理系一辺倒。65歳頃、医師会の会報に載せる随筆を頼まれるまで、文章を書いたことはなかったという。
自分の記録を孫たちに残したい

『医説~』はストレスや認知症、艶っぽい話まで、医学と人体についてのわかりやすい解説が、ふんだんに盛り込まれている。
パソコンが使えないため、調べ物をするのに中央図書館に20分歩いて通いつめた。
健脚だが「体にいいことは何もしていない」と、医者の不養生をケロリと告白。年中心配しない方が体にはいいという。考えすぎて体を壊している患者を、何人も診てきた。
息子さんが継いだ医院で週2回、今も診察を担当する。昔外科医だったこともあり、医者が悪者のように報じられる今の状況に、もどかしさを覚える。「医者は神様仏様じゃないから、誠心誠意やっても救えないことがある。医者も人なんだ」。
現在は3冊目を計画中。「死ぬまで書こうと思っている」。『医説~』では、編集者に3分の1近く文章を削られて惜しい思いをしたが、「次の本は孫たちが思い出してくれるための記録。おじいちゃんはこうだった、と後で読んで知ってくれれば」と、思いのままに書く予定だ。
「宿題に毎日追っかけられている感じ。小学生みたい。退屈しないですね」。いたずらっぽい顔で笑う。
「あるべき」という言葉で自分を縛ることを嫌う。小沢さんの生き方が伝わる1冊になるに違いない。