足立朝日

新路線はるかぜに乗って 江北氷川神社を尋ねる

掲載:2008年11月5日号


 新しく開業したはるかぜの路線にある、江北氷川神社を訪ねてみよう。この辺り一帯は、長者が川に身を投げた娘を悼んで、霊木で6体の阿弥陀仏を彫らせたという「足立姫伝説」発祥の地として知られる。
本殿は総欅造りの桧皮葺き。 祭神は素戔嗚尊
本殿は総欅造りの桧皮葺き。
祭神は素戔嗚尊


 本殿は約170年前の天保4年(1833)再建されたもので、総欅造りの桧皮葺きで、木造としては区内でもかなり大きい。祭神の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の故事にちなんで、周囲には龍の彫刻が施されている。拝殿は明治8年(1875)の再建と伝えられる。

センサー付きの獅子の彫刻がある手水舎
センサー付きの獅子の彫刻がある手水舎

 境内を入ってすぐ左に、一風変わった「手水舎」がある。水が出る部分に龍の彫刻が使われているのはよくあるが、ここは獅子。しかもセンサー付きなので、人が近付くと自動的にチョロチョロと水を出してくれる。
 実はこれ、拝殿の屋根に鬼瓦として乗っていた5つの獅子の内の一つ。昭和の大改修工事で瓦葺きを銅板葺きに変えた際に下ろしたものを、八木健一郎禰宜のアイデアで生まれ変わらせたそうだ。
珍しい手水鉢型の庚申塔
珍しい手水鉢型の庚申塔

区指定有形民俗文化財の「庚申塔」もある。石塔が一般的だが、かなり珍しい手水鉢型。元禄12年(1699)に、下・上沼田村の氏子中によって奉納されたという刻印があることから、約300年前のものと思われる。
風化が激しいため、現在は中庭に置かれているが、頼めば見せてくれる。手水舎に使われている獅子の大型のものも、同じ場所に安置されている。