足立朝日

「隣人祭り」で助け合えるご近所作り ペリファン氏が講演

掲載:2009年1月5日号
 暗いニュースの原因の一つとして、ご近所付き合いや地域コミュニティの希薄さが、度々話題にのぼる。こんな問題を社会が抱えているのは、日本だけではない。
 フランスのパリで、この問題を解決しようと1999年に始まったのが「隣人祭り」。近隣住民たちが食べ物を持ち寄って語り合う肩の張らないイベントで、今やその活動は世界中に広がっている。日本でも昨年6月に支部が発足した。


 活動の発起人でNPOの代表・アタナーズ・ペリファン氏が来日し、12月3日ギャラクシティで講演した。東京未来大学と区民部住区推進課がともに地域づくりを考えていこうと共催、住区センター管理運営委員会の委員会研修として企画した。


人と人とのつながりの素晴らしさを語るベリファン氏

 ペリファン氏が隣人祭りを始めたのは、同じマンションのお年寄りが孤独死し1月発見されなかったことがきっかけ。現状を変えようと、各部屋に招待状を配り、通路にテーブルと椅子とお菓子を用意したが、初めは誰も来なかった。1人2人と増え、3時間後には50人が集まり楽しい時間をすごすことに成功。
 その後住民同士の交流が進み互いを思いやる関係が深まったことで、今では高齢者や子どもの見守りなど、助け合える環境が出来ているという。
 世界中で講演している氏は「どの国も、みんな人の役に立ちたいと思っている。隣人との連帯が長続きするためには、助ける側と助けられる側を決め付けず、『お互い様』があってこそ」と話す。
 プライバシー重視の個人主義が進む今の日本で、隣人祭りは困難に思える。が、「やる気がいっぱいある一握りの人がいれば、世の中は変えられる。隣人1~2人を巻き込んで始めることが秘訣」。ペリファン氏は隣人祭りがいかに簡単かを、熱い口調で辛抱強く訴えた。
 「日本全国に広がればアジア全域に広がる。1人1人が旗振り役になって」。希望に満ちて力強い氏のメッセージだ。