足立朝日

格闘家  宮田 和幸 さん(33歳)

掲載:2009年2月5日号
一歩を踏み出す勇気大切 
シドニー五輪にレスリングフリースタイル63㎏級の代表として出場。今はプロの格闘家として、K―1などに参戦している現役のファイターだ。
 先日念願のジムを北千住に開き、自宅のある松戸から通う。町屋在住の頃、北千住や保木間の温泉などによく通っていたことから、慣れ親しんだ足立区を拠点にした。

 ジムは自分がじっくり練習できる場であると同時に、未来に夢を繋げる場でもある。K―1選手育成はもちろん、子ども向けの教室も企画。「体育の塾は少ないと思うので、身体能力を伸ばせるようにしたい」。跳び箱や縄跳び、マット体操なども計画中という。日大在学中は教員志望で、現在は2男1女の父親でもある。子どもの可能性を伸ばしたいと、意欲を燃やす。
 水泳の北島康介選手のトレーナー・佐々木秀男氏が賛同し、空いた時間にスタッフとして子どもの体力づくりなどを担当。他にも大人向けのダイエットコースなど、器具を使う大型のジムではできない丁寧な指導をしていきたいと夢は広がる。
 格闘家としても飛躍を誓う。通常体重71㎏の宮田選手にとって70㎏級はきつく、今年は「階級を落としてバンバン試合していきたい」と話す。
 幼少時から柔道とレスリングを続けてきて、自分の実力を信じていても、試合での恐怖はあるという。06年には顎を骨折する大怪我をし、家族はそれ以来見に来ない。それでも、「染み付いちゃってて、これしかできない」と過酷な世界に身を置く。「勝った時も負けた時も、大事なのは勇気。一歩踏み出す勇気がない時には負ける」。リングで闘う相手は自分自身だ。
 ジムの名は前から「Brave(勇敢)」と決めていた。子どもがいじめられて帰ってきた時にも「やり返せとは言わないけど、やる子もやられる子も、大切なのは勇気」。勇気があれば、現状を変える一歩を踏み出せる。その大切さを知るからこそだろう。