足立朝日

動物の命に対する責任甘い 動物愛護法を見直す会発足

掲載:2009年5月5日号
 動物の愛護および管理に関する法律「動物愛護法」は5年に一度改正される。次回改正の2010年に向けて「動物愛護管理法を見直す会」の第1回目(発起人=放送作家・藤村晃子)が4月10日、衆議院第1議員会館会議室で行われた。

 参加者は、藤野真紀子・衆議員議員、松野頼久・衆議院議員、木挽司・衆議院議員、環境省動物愛護管理室・安田直人室長、警察庁生活安全局生活環境課・森昇治室長、アナウンサー・滝川クリステルさん、作家・渡辺眞子さん、直木賞作家・森絵都さん、めぐろのいぬやしき・松本卓子さん、動物愛護支援の会・マルコ・ブルーノさんなど、動物愛護団体ほか37名。
 愛護センターという名の殺処分場では、ほとんどの自治体が二酸化炭素による窒息死を行い、多大な苦痛を与えながら殺す方法を行っていることから、苦痛を最小限にする安楽死を推進するのは、自民党動物議員連盟に名を連ねる藤野真紀子議員。
 また、動物愛護の法律ができたのにもかかわらず警察の知識不足や、動物虐待の犯人を検挙できていない問題も取り上げた。
 松野議員からは、愛護センターで動物を引き取る際のデータのフォーマットを全国一律にし、動物持込のリピーターには何らかの注意を促す提案が。また、犬の鑑札、犬のシールの収入だけで年間40億円もの歳入があるが、法律により一般会計で処理されており、動物には使われないことが報告された。 
 本紙のコラム「愛のしっぽ」の執筆者だったマルコ・ブルーノさんは「動物の生きる権利を確保する必要性」を主張。EUには犬のパスポートがあること、ドイツには犬税があることなど、日本とEUの動物に対する思いの温度差があることを熱く訴えた。
 現在使われている法律の文言の「みだりに」というあいまいな表現をやめ、何十万円以下の罰則ではなく、「何十万円以上の罰則」の文言をはっきり入れる必要があることを訴え、先進国であるにもかかわらず、動物後進国の日本を憂えた。
 そのほか、インターネット販売における「生体販売」のトラブルが問題になっている現状の報告も。生体が輸送中に死んでしまう事故の多発、物を買う感覚で命を買ってしまう安易さ。消費者、ブリーダーとも動物の命に対する認識が甘いことを指摘。
 飼い主が持ち込んだ動物の殺処分にかかる費用は、1頭につき3千円から6千円もかかっているため、愛護センターを命を奪う「殺処分場」ではなく、「命を繋げる愛護センター」を目標にメンバーは悪戦苦闘しながらも日々活動をしている。
 ちなみに平成19年度の殺処分は31万頭にものぼる。3分間に1頭殺されている計算になる。
 次回の会議は5月29日に行われる。

写真上=深夜営業をしているペットショップ。長時間人目にさらされ、強いライトをあびる子犬の苦痛を訴える藤野議員(中央)、右は滝川クリステルさん
写真下=問題山積みの日本を憂うマルコさん