足立朝日

生まれた絆に想い込め  閉店惜しみ送別ライブ 

掲載:2009年5月20日号
フラワー ショップ NOBU
 千住に根付いて13年。街の人々から親しまれてきたフラワーショップNOBU(ノブ)が、今月限りで閉店する。
 店主の石川信子さん(60)が親の介護で、埼玉県新座市に引っ越すためだ。石川さんは、青山の花屋やアメリカのロサンゼルスなどで修業。友人の勧めで長野からこの地へきて、念願の店を開いた。

 自分で採ってきた枝を使ったリースや、お客さんの希望に沿ったアレンジなど、センスの良さが好評。多くの人たちに花を買う喜び、花を贈る幸せを提供してきた。
 花だけでなく、石川さんの気さくであたたかい人柄に魅かれて話をしに立ち寄る人も多く、いつも店には明るい笑い声が絶えない。中には、保育園の子どもたちに声をかける姿や、嫌な顔ひとつせずに高齢者宅の花壇の世話をする姿などを見かけて、「みんなのお母さんみたい」と評する人も。
 閉店を知って、息子さんの友人でお店のファンでもあるセミプロのシンガーソングライター・akiさんが、送別会ライブを提案。5月12日に北千住のカフェ&バー・COSMIC SOULで開かれた会には、常連客や商店街の人など20人以上が集まった。
 しっとりした弾き語りの中、心地良い雑談が進んだ。つまみとドリンクは全て石川さんからのプレゼント。「最初は夢中で、あっという間の13年。千住の人たちのあたたかい気持に支えられてやってきた。すごく人情味がある街」。店を通じて生まれた絆に、それぞれの想いがこもる時間となった。

写真=閉店惜しむ仲間と石川さん(最後列左から4番目)