足立朝日

緑雨の俳句吟行会 足立俳壇主宰 柴原氏

掲載:2009年6月20日号
5月28日、あだち俳壇主宰の柴原保桂氏を中心に、白金台の自然教育園で、俳句吟行会が開かれた。

 折からの走り梅雨の中、句作に情熱を燃やす30人が集まった。
自然教育園は東京のど真ン中にありながら、自然林の中に湧水の池がいくつもあり、野鳥がさえずり、倒木もそんのままという恵まれた環境。その中で名句秀句を競い合った。

自然教育園

この森に白金長者額の花        柴原 保桂

本降りや緑の森を丸洗ひ(牧田広美)
この緑百年後にもあるだろか(蔀かつ枝)
万緑の香にむせかへる森の道(田澄夫)
十薬の白き十字架背負ひけり(深澤小夜子)
走梅雨暗く小高き館跡(海治啓子)
椎若葉雨のしずくを染めにけり(佐治彰子)
万緑や空へすっくと椎巨木(太田悦子)
園深く静もる舘若葉雨(鈴木サキ子)
I・Cカード抜けて改札業平忌(浦本幸子)
山紫陽花葉裏にいたりかたつむり(杉山千恵子)
皇室の献上品の枇杷を狩る(久保田ミサ)
古池のあめんぼあっちこっちかな(白川霧乃)
霊宿す暗さありけり額の花(大和田博道)
落し文白金長者の土嚢跡(星野綾子)
新緑の漲る命太き幹(室谷信子)
蕗の葉に虫の描きし迷路あり(秋本耀子)
落松葉三百年の大蛇松(神戸美恵子)
雨の打つ雑木林のみどり濃き(小野寺澄子)
葉桜や坂に残す名権之助(佐久間房江)
森深く居て蚰蜒と雨を聴く(村上紗知)
遅れじと急ぎし千住五月雨(宮園春菜)
一面に咲きて十薬名あげて(山口洋子)
破れ傘ほんに破れてをりにけり(渥美初枝)
走り梅雨白金の森すっぽりと(宮下しづよ)
雨にぬれ二人静のひそやかに(峯村文子)
白金台句会に急ぐ梅雨の傘(平林弘子)
少年の瞳をして揚羽追ふ人よ(遠島しづ子)
白金の長者の土塁破れ傘(丸山弘)
木下闇抜けて明るき水生園(柴原紅扇)