足立朝日

自死遺児の痛み訴える  こころといのちの相談支援事業

掲載:2009年8月5日号
 足立区の平成19年度の自殺者数は前年より減少したものの、152人にのぼり、都内5番目。
 区は都の委託事業として2年間の「こころといのちの相談支援事業」を昨年度からスタート。5月には実践的なノウハウを持つNPO法人ライフリンク(清水康之代表)と協定を結んで、総合的な対策を進めている。

 その第1弾として6月27日、シアター1010で「自殺による死別の痛みを抱えて~自死遺児たちの歩み、そして~」が開催された。第1部では、父親を5年前に自殺で亡くした桂城舞さん(大学4年)が登壇。「こうして伝えることで何か変わるかもしれない。これ以上、父親と同じような人を増やしたくない」。涙ながらに語られる辛い体験と心からの叫びに、会場のあちこちからすすり泣く声が響いた。
 清水代表が自死遺児の実情と遺児たちの歩みについて説明。自殺に対する周囲の偏見から、身内
を自殺で亡くしたことを言えない苦しみを抱える遺族の心情を伝え、「自死遺族は今日本に300
万人いる。数で考えるのではなく、一人ひとりに人生があることを考えるのが出発点」と訴えた。
 足立区では7月に自死遺族の会「分かち合いの会」を立ち上げた。小グループで語り合い、聞き合うことで、ゆっくりと支え合うことを目指す。匿名、話を聞くだけの参加も可。話の内容などは守秘義務で守られる。
 中央本町保健総合センターで、毎月第1金曜・午後6時半~8時半。家族を自殺で亡くした人対
象、無料。問合せ同センターTEL3880・5352、FAX3880・6998
NPO法人ライフリンクTEL3261・4934。メールadachi@lifelink.or.jp

写真=遺児たちの実情を伝える清水氏