足立朝日

家族の創意工夫が大切  ひきこもりセーフティネット足立1周年

掲載:2009年9月5日号
 NPO法人青少年自立支援センター「ひきこもりセーフティネットあだち」が開設1周年を迎え、記念事業として「若者がひきこもらなくてすむために我々は何ができるのか」と題し、講演会とパネルディスカッションが8月25日、庁舎ホールで行われた。

 講演は斎藤環氏(爽風会佐々木病院診療部長)で、不登校や社会的ひきこもりの定義や対応指針について講演。
 不登校は小学生から中高生への高年齢化が最近の傾向で、ひきこもりも多くは不登校から長期化し、きっかけは何らかの挫折体験だが、必ずしも必須のものではない。ひきこもりも高年齢化し、昼夜逆転の生活や強迫症状などの精神症状を示す場合、家庭内暴力、自殺未遂にいたることもある。放置した場合は自然な回復が期待できないという。
 家族の基本的な心構えは、本人が安心してひきこもれる環境づくりで、しつけ的発想はやめる、金銭管理は月にいくらと一定額にする、挨拶のほか、家事を頼んだり親の問題を相談するなど創意工夫が大切と講演された。
 パネルディスカッションでは斎藤氏の司会で、第十中学校養護教諭・五十嵐氏、民生児童委員・安藤氏、ひきこもりセーフティネットあだちスタッフ・小佐野氏、不登校経験者・板倉氏が現状や体験を話した。板倉氏は小学1年~中学2年まで不登校だったが高校、大学と進学できたのは多くの人との出会いで自分を変えることができたと語った。
 「ひきこもりセーフティネットあだち」では、電話、メール、訪問相談などで支援を行い、08年9月開所から今年7月まで765件の相談が寄せられている。
 TEL5242・9634、メール=safetynet.a@fs-ysc.org

写真=講演する斎藤氏、著書多数